NACCSセンター、書類電子保管サービス 12月メド開始 通関業者むけ 次期システム検討着手
産業
2019/01/31 0:00
輸出入・港湾関連情報処理センター(NACCSセンター、服部剛社長、川崎市幸区)は通関業者向けに、輸出入許可書の写しと関連書類を通関情報処理システム(NACCS)本体に電子保管する新サービスを、12月をメドに開始する。また、2019年は、2年後に予定されている現行NACCSのハードウェア全面更新に向けて準備を進めるほか、25年導入の次期システムの基本仕様についても、専門部会を立ち上げて検討に着手する。18日の専門紙記者懇談会で、服部社長が明らかにした。(吉田英行) 新サービス「貿易関連書類電子保管業務」は、NACCSを利用している通関業者が対象で、NACCSを通じて輸出入申告した許可書などの写しと、その申告に関連する通関関係書類をひも付けて、NACCS本体のオンラインストレージに保管するもの。 NACCS内に設けた利用者専用の電子保管領域で管理。NACCS同様の高いセキュリティー環境下で長期保管できるのが特徴で、通関業者に課されている書類保管義務も果たせる。 書類保管サービスは複合機メーカーなどが先行しているが、高度なセキュリティー環境での保管をアピールし、他社サービスとの差別化を図る。 主な対象として、年間4千~50万件の輸出入申告があり、自社でシステムを持っていない通関業者を見込む。将来的には、通関業者の自社システムとの連携も視野に入れる。 NACCSセンターでは、本来業務であるNACCSのシステム運用のほか、NACCSが管理する情報を活用したサービスとして、「業務状況等分析業務」を提供している。NACCSの業務実績データの集計・分析、分析結果に基づいたリポート作成、各種シミュレーションを行うもの。現在はオーダーメイド型が中心だが、簡易型サービスや申告訂正履歴の確認機能など、利用者ニーズに対応したサービス拡充も検討する。 NACCSは8年ごとにシステムを更改しており、現行システムは17年10月に更改された「第6次NACCS」。次の更改までの中間地点となる21年10月には、ハードウェアの全面更新が予定されている。ユーザーとのネットワーク接続試験など大がかりな作業が必要となるため、円滑・確実な実施に向け、官民と意見交換しながら準備を進めていく。 また、25年更改の「第7次NACCS」の検討にも着手する。19年度中に官民の利用者代表と専門部会を立ち上げ、基本仕様の検討を開始。安定的運用とサービス向上を目指し、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)といった最新技術の動向調査にも取り組む。 記者懇談会で、服部氏は「今年は民営化10周年の節目。社員の半数を占めるプロパー人材の育成・成長を図り、新規事業への挑戦やシステム更新・更改、海外展開といった課題に対応したい」と述べた。 【写真=「プロパー人材の育成・成長を図り、新規事業への挑戦やシステム更新・更改といった課題に対応したい」と服部社長(中央)】