太平洋フェリー、新造船「きたかみ」就航 苫小牧―仙台 快適性高め利用促進 トラック166台積載
物流企業
2019/01/28 0:00
太平洋フェリー(志甫裕社長、名古屋市中村区)は25日から、苫小牧-仙台を結ぶ定期航路に新造船「きたかみ」を就航させた。貨物が主力の航路で30年間活躍した旧船を刷新することにより、新たな需要の掘り起こしを狙う。(梅本誠治) 1989年に就航した旧「きたかみ」の代替船として、三菱重工業の下関造船所(山口県下関市)に発注し、2018年7月の進水・命名式を経て、就航に向けた架装を進めていた。太平洋フェリーの新造船は、11年の「いしかり」以来8年ぶり。 就航に先立ち名古屋、横浜、仙台、苫小牧の各港で内覧会を開催。22日に行われた名古屋港のセレモニーで、志甫社長は「新しい『きたかみ』は、仙台港に寄港中に東日本大震災に遭遇し、緊急出港で大津波を乗り越えた旧船の験を担ぎ、同じ船名を引き継いでいる」と紹介。 その上で、「苫小牧―仙台は、生活航路でビジネス利用などのリピーターも多い。旅客スペースは、定員を減らしてプライバシーを確保できる快適性を追求した。貨物も陸路の無い北海道へのモーダルシフトの需要をしっかり取り込めるよう、荷主への新たな提案を行っていきたい」と話した。 新船は全長192.5メートル、全幅27メートル、総トン数1万3694トンで、8千キロワットのエンジン2基を搭載し、最大速力は24.55ノット。8階層のデッキは1~5階が車両甲板、6、7階が旅客用フロアで、旅客定員535人が乗船できるほか、トラック166台、乗用車146台を積載可能。 船内は夜間運航に合わせて、「SPACE TRAVEL」をコンセプトに、プロジェクションマッピングをはじめとする様々な照明技術で宇宙の幻想的な雰囲気を演出している。 ドライバー室は、鍵の掛かる個室タイプの1段ベッド56床を用意し、スペース内にはドライバーズサロンや専用浴室を完備。同社では「今後もドライバーの快適性を高めるためのアイデアを採り入れて利用促進を目指していく」としている。 【写真=旧船が東日本大震災の大津波を乗り越えた験を担ぎ、同じ書体の船名を引き継いだ新「きたかみ」】