ふそう/川崎工場、エネルギー設備を刷新 発電効率や環境性能高め 排熱を2次利用
産業
2019/01/24 0:00
三菱ふそうトラック・バス(ハートムット・シック社長兼CEO=最高経営責任者、川崎市中原区)は、川崎工場(同区)の構内で使う電力の半分を賄うガス式エネルギー設備を刷新するとともに、構内をセントラル空調化し、15日に報道関係者に公開した。従来設備に比べ、発電効率や環境性能を高めたほか、発電時の排熱を利用してオフィスや生産現場の空調にも使い、労働環境改善を図る。(吉田英行) 同工場ではこれまで、ガスタービン式のエネルギー設備で、構内で必要な電力の大半を賄っていた。また、構内に混在する千以上の独立した冷暖房装置により、スポット空調を行っていた。 設備のリニューアルは、2年前から段階的に着手。旧設備の撤去を経て新設備を導入し、2018年12月13日に新システムを稼働させた。 新システム「ガスエンジンコージェネレーションシステム」は、エネルギーセンターと構内に張り巡らされた配管システムで構成している。エネルギーセンターには発電電力5750キロワットの高効率18気筒ガスエンジンを設置し、構内で消費する電力の半分を供給する。 また、発電時の排熱を利用し、2次エネルギーとして蒸気、温・冷水を作ることが可能。蒸気は塗装工程で使用され、温・冷水は6棟の建屋をつなぐ配管を通じてオフィスや生産現場に送られ、冷暖房用に使われる。 旧設備に比べ、エネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量をそれぞれ5%削減でき、メンテナンス費用は半減される見込み。空調能力も従来の1.3メガワットから3メガワットと、2倍以上に増強された。排出ガスは尿素水「アドブルー」で浄化するなど、環境にも配慮している。 報道関係者向け説明会で、同社生産本部のシューマッハ・トーステン施設管理技術部長は「今回のリニューアルは、職場環境の改善、地球環境への配慮、効率化と維持費の削減が目的。革新的な高品質製品は高品質の生産プロセスから生まれる」と強調した。 同社では、16年に5カ年の環境中期行動計画を策定。20年までに生産部門でCO2を15年比12%、非生産部門で5%それぞれ削減する目標を掲げている。また、商品開発でも2017年、世界初の量産電気小型トラック「eキャンター」の発売を実現するなど、環境への配慮に力を入れている。 【写真=構内で消費する電力の半分を供給する、高効率18気筒ガスエンジン】