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日本型MaaS、物流分野にも拡大へ 国交省 実証実験「貨客混載」想定 3月末メドに方向性まとめ

行政

2019/01/21 0:00

 MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)を物流分野にも拡大――。鉄道、バス、タクシーなどの公共交通や、自動車のライドシェア(相乗り)といった最適な移動手段を組み合わせ、スマートフォン(スマホ)のアプリを使い一元的に提供する日本型MaaSの構築に向けた検討や実証実験が官民を挙げて進む中、「物流も融合すべき」との声が高まりつつある。国土交通省は3月末までにMaaSの方向性を取りまとめ、新年度に各地域で実証実験を行う方針。過疎地での貨客混載などを想定しているが、より広い視野で物流面の検証を行うことが求められている。(田中信也)  出発地から目的地までの最適な移動手段をシームレスに提供する経済活動の概念であるMaaSの実現に向けては、「人の移動」に関するサービスの研究・開発が先行している。反映される情報は多様で、自動運転などの技術もセットで扱われることが多いが、日本では車に乗りたい人と乗せたい人をマッチングするライドシェアサービスが代表的で、米ウーバー・テクノロジーズの日本法人が運営する配車サービス「ウーバー」が定着しつつある。  一方、ウーバーは食品を配達する「ウーバーイーツ」も展開しており、一部の地域で、一般人が所有するバイクや自転車で届けるサービスを本格的に開始。「物の移動」に関するマッチングサービスも日本に上陸したことから、「MaaSの流れに適合しなければならない」として、物流関係団体のセミナーなどで話題に上ることが増えてきた。  「人とモノを融合してトータルで考える必要がある」――。10日に開かれた日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)の講演会で、東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が「情報流、商流、実体流(人の流れ)が統合されることで、円滑な交通のためのプラットフォームができる」として、物流をMaaSに融合させる必要性に言及。その上で、「交通と物流の接点に注目すべき」と主張した。  こうした中、国交省は17日、日本型MaaSの将来像や、今後の取り組みの方向性について検討する「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会」(石田東生座長、筑波大学特命教授)の第6回会合を開催。佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)に対し、物流事業者では初となるヒアリングを行った。佐川は鉄道、バス、タクシーによる貨客混載や、外国人観光客などを対象とした手ぶら観光の取り組みなどを紹介した。 【写真=佐川急便に対し、物流事業者では初となるヒアリングを行う(17日、都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会)】





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