政府/商品事故補償「適正」に 飲料輸送の研究会立ち上げへ
行政
2019/01/14 0:00
政府は、飲料輸送中の商品事故でトラック事業者が過度な費用負担を求められている状況の是正に向け、研究会を立ち上げる。飲料のダメージの有無は、メーカーによって判断基準が異なり、基準が無い場合もある。運送事業者に過失が無くても補償しなければならないケースもみられる。研究会には、関係省庁に加えメーカー、運送事業者が参加。法的な観点を含め、適正な取引環境について議論するとともに、関係者間で合意形成を目指す。(辻本亮平) 12月21日の下請等中小企業の取引条件改善に関するワーキンググループ(長谷川栄一座長、内閣総理大臣補佐官〈政策企画担当〉)で説明した。 飲料輸送ではかねて、商品事故の補償の適正化が課題となっていた。例えば、トラックで工場から倉庫へ輸送する際、急ブレーキなどにより商品事故が発生すると、商品の傷んでいない部分まで補償するよう求められる。また、過失ゼロの事故によるダメージでも補償しなければならない場合がある。 また、補償しても、トラック事業者は商品の使い道を決めることはできず、産業廃棄物として処理すると、その費用も負担しなければならないことがある。 一方、メーカー目線では、被害が軽い場合は箱を交換して済ませるが、急ブレーキなど強い衝撃が推察される場合、傷んだ部分の周辺を含め、欠品の損害見合い額の支払いや廃棄を求めることがある。 廃棄を求めるのは、炭酸漏れの防止など品質保証や、横流し・安売り防止などの目的がある。事務局の報告によると、多くのメーカーが廃棄費用を自社負担しているという。ダメージの判断基準は、メーカーによって有無が分かれる。 こうした現状を踏まえ、法的な観点を含め適正な取引について検討するための研究会を発足させる。飲料メーカーと運送事業者も出席し、業界内の合意形成につなげる。 【写真=飲料メーカーと運送事業者も出席し、業界内の合意形成につなげる(イメージ写真)】