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新潟県内で施設増設進む、働き方改革むけ効率化 輸送距離短縮や積合せ

物流企業

2019/01/10 0:00

 【新潟】物流業界で働き方改革への対応が迫られる中、新潟県内でも倉庫を新設して輸送距離を短くしたり、物流センターを拡張して作業効率を高めたりすることで、輸送の効率化や労働時間の短縮を図り、働き方改革に対応する事業者が増えてきた。また、他社と連携し、荷物を積み合わせて人手不足を補おうとする動きもみられる。(河野元)  床面積3300平方メートルの営業倉庫を新設したのが産業運輸(小西光男社長、新潟市南区)。新潟東港に至近の同市北区太郎代地区に建てたもので、陸揚げされた海上コンテナを保管、荷さばき、方面別に仕分けて出荷する。保管から輸送まで一貫サービスを提供する総合物流業へのシフトを目指す。ただ、自社での活用は2019年10月以降になる。それまでは、ほかの物流事業者に貸し出す。  本社営業所にも660平方メートルの保管庫があり、既に倉庫事業を手掛けているが、本格的に展開するために増設した。新潟市近郊では倉庫の需要が高く、このニーズを見据えた。また、災害時の事業継続計画(BCP)をはじめ、太平洋側の港湾からのシフトを検討する荷主や運送事業者の動向も考慮した。  高さが10メートルで、長さ12メートルの下屋も設置。冬季の降雪、風雨でも、影響を少なく作業できるよう車両の乗り入れも可能だ。土地代(敷地面積1万3200平方メートル)を含む総工費は7億円。  東港と本社とは45キロ離れており、今後計画している出先としての稼働になれば、わざわざ東港まで出向く必要が無くなる。これにより当然、ドライバーの労働時間も短縮される。  一方、燕運送(柳原秀治社長、新潟県燕市)は本社近くのコイルセンターを増床した。重量物を1カ所に集め、積み合わせて出荷するハブ・アンド・スポーク的な戦略を強化するのが狙い。産業運輸と同様に、輸送効率化の推進は時短にも直結する。  同市を含む県央地域は金属関係のメーカーや卸など、中小企業が集積することで全国的に知られる。日本の高度経済成長を支えてきたものの、バブル景気の崩壊後は徐々に勢いが衰え、貨物も小ロット化が進むようになった。  この流れをくみ取り、03年に重量物を仕分けできるセンターを整備。床面積1300平方メートルと600平方メートルのスペースを駆使して混載を展開していたが、このたび更に1300平方メートル増やした。  新たな施設も鋼材の荷重に十分耐えられるよう、建物の基礎部分にはパイルを数多く打ち込んだ。このため、投資額は2億5千万円となった。  午前中に複数の荷主から資材を引き取り、センターで荷さばき、ピッキングして無駄なく積み込み、夕方には県外へ発送できる態勢を整える。長距離輸送に充てる車両台数が減るため、従業員の総労働時間も短くなる。  働き方改革の対応では、16年に参画したメタル便(梶大吉社長、千葉県浦安市)のネットワークも生かしたい考え。特に、関西方面に関しては、将来的には北陸エリアでの中継輸送も視野に入れる。  18年にはM&A(合併・買収)で、同じ県央地域の大島急送(三条市)をグループに組み入れた。人員や車両の拡充を図り、荷主の要望に的確に応えられるよう努める。  仕事はあってもドライバー不足により、こなせないケースが顕著になってきた。トラック事業には残業時間の上限規制に対する猶予期間が設けられているが、そのような状況下でも、着実に働き方改革も実践していかねばならない。これら課題をクリアするためには、生産性の向上が求められる。コストは掛かるが、こういった施設整備を伴う動きは今後も増えていきそうだ。 【写真=新潟東港に近い北区太郎代地区に建てた産業運輸の営業倉庫】





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