厚労省/港湾労働法適用拡大へ議論必要6大港以外も現状把握
行政
2019/01/10 0:00
厚生労働省は12月26日、労働政策審議会の港湾労働専門委員会(鎌田耕一座長、東洋大学名誉教授)で報告書案を取りまとめ、港湾労働法の適用拡大について今後、労使と行政で議論を重ねるとともに、その進ちょく状況を確認する必要があることを明記した。港湾労働法の適用拡大を巡っては、かねて港湾運送業界の労使が議論を重ね、2018年の春闘で合意を形成。これを踏まえ、厚労省が今後の検討課題として俎上(そじょう)に載せた形だ。ただ、法改正への道筋は具体化しておらず、対象外の港の現状把握などから始める方針。 港湾労働法は日雇い労働者の登録制度や不就労日の手当支給などを定め、違反事業者への罰則も規定するもの。現状、6大港(東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門)のみに適用され、職種も一部除外されている。 この適用範囲拡大を巡り、労使は長年、議論を重ねてきており、18年春闘で合意。これを踏まえ、同委の労働者側委員は、同委で定める19年4月からの新「港湾雇用安定等計画」に関連の記載を盛り込むよう求めてきた。しかし、同計画の対象は6大港のみで、法改正をしなければ関連の記載を盛り込むことは不可能。 折衷案として、事務局は同委の報告書に、港湾労働法の適用拡大について、その必要性や、6大港以外の港の現状把握も含め、行政を含めて議論を重ねる必要があることを盛り込んだ。今後、その進ちょくを確認することも明記。併せて、「労働者側委員から計画に港湾労働法の適用拡大について記載すべきとの意見があった」ことを記述した。 報告書案は1月から2月にかけて、6大港を所管する地方労働審議会の部会へ意見照会される。2月には港湾労働専門委員会の次回会合を開き、最終取りまとめを行う。その後、労政審の雇用対策基本問題部会で審議・決定する。(辻本亮平) 【写真=報告書案を取りまとめ】