全日本ライン、バナナと混載し効率アップ 青果物 合理的な供給体制構築 産地の悩み解消に注力
物流企業
2019/01/03 0:00
全日本ライン(下戸章弘社長、東京都千代田区)は2019年12月期の重点テーマに「統合物流の本格化」を据えている。バナナというベースカーゴを持つ優位性を生かし、青果物を効率的かつ合理的に供給する体制を構築。これにより車両の積載率と稼働率を高め、生産性の向上並びに収益の改善に結び付ける。(沢田顕嗣) 親会社のファーマインド(堀内達生社長、同)と連携を図り、統合物流を推進するのと同時に、産地へのソリューション提供も強化。流通チャネルの中間に位置するポジションを強みに、グループの経営資源を結集して産地と消費地を円滑につなぐ。 同社は自社車両50台を含め、全国で1日当たり500台のトラックを運行している。主要量販店の大半のセンターと物流のパイプを持つ特長を生かして、トラック不足で困っている産地(JAなどの生産者)の悩みを解消することに注力していく。 手積み・手下ろしの多い青果物輸送を敬遠する傾向が強まる中、バナナと混載して輸送効率をアップさせるのに加え、帰り便の活用で実入りを増やすことにより、協力会社を含むドライバーの待遇を改善する原資に充てる。 150超のJAと取引しているファーマインドは、市場外での流通加工インフラを構築して業容を拡大してきた。青果物が卸売市場を経由すると、卸と仲卸を合わせて実質的に20%程度のコストが発生するが、ファーマインドは産地から量販店まで自社構築の流通インフラによるローコストを強みに業務を受託。産地の手取りを厚くすることを通じて、国内の農業を側面から支援している。 近年は産地でも高齢化と担い手不足が深刻な問題となっており、各地のJAでは合併などの生き残り策を懸命に模索している。危機に直面する青果物の流通を盛り立てるため、ファーマインドは全国15カ所のセンターで収穫物の選別や袋詰めといった流通加工を受託するとともに、ブランディングや販路の開拓も請け負っている。 また、物流の面でも期待に応えていく。コールドチェーン(低温流通網)で品質を担保するだけでなく、品質劣化を防いでロスを削減。既存の納品ルートを利用することでローコストも実現する。今後はトラック不足の進行をにらみながら、生産者への集荷を手掛けることも検討していく。 ファーマインドの取締役常務執行役員を兼務する下戸社長は「ロジコストの削減とロジ機能の強化は青果流通においてとても重要なテーマ。19年12月期は統合物流を深掘りし、本格展開する1年にしたい」と意気込む。 【写真=ファーマインドと連携し、産地へのソリューション提供も強化(一部画像処理)】