辻本運送、自社初の温度管理倉庫 食品物流参入し基盤を拡大 輸送と保管を組み合わせ
物流企業
2018/12/24 0:00
【奈良】辻本運送(辻本広行社長、天理市)は、同社初の温度管理機能を備えた天理南倉庫を天理市桧垣町に新設し、食品物流への参入を通じて営業基盤の拡充・強化を図っている。運送主体の業務から2010年、天理中央倉庫を西長柄町に構え、運送と保管、入出庫管理まで手掛ける総合物流業にステップアップ。保管面積の拡大、取り扱い貨物の多品種化で更なる飛躍を目指す。(渡辺弘雄) 天理南倉庫は、平屋建てで、敷地面積9240平方メートル、床面積3300平方メートル、事務所面積260平方メートルを有し、1日から本格的な営業を開始した。3分割した庫内は、常時セ氏30度以下に保つ定温仕様となっており、鳥の侵入を防ぐシートシャッターも導入している。屋根にはソーラーパネルを敷き、環境対策に努めている。 営業内容は、幹線輸送、自動車部品、郵便、雑貨の配送と保管を担い、関東から兵庫県をカバーする運行体制で、大型車を中心に30台保有。17年度の売上高は5億6千万円だった。 同社は、天理中央倉庫(2階建て普通倉庫、敷地面積1980平方メートル、延べ床面積2640平方メートル)、輸送部(天理市)、東京営業所(東京都足立区)に拠点を持つ。 売上高の80%を占めていた幹線輸送が、1996年、大手運送会社の経営悪化で大きな痛手を受けたため、荷主の分散化に着手した。自動車部品、郵便、雑貨の輸送を新規開拓し、現在では幹線輸送の比率を30%まで引き下げた。新規の食品物流は成長を見込み、30%を目指している。 安全確保では、デジタルタコグラフ、ドライブレコーダーの装着に加え、品質管理の国際規格ISO9001、安全性優良事業所認定(Gマーク)、グリーン経営の各認証、認定を得るなど輸送品質を着実に高めてきた。 人手不足への対応については、ドライバーの労働時間管理が難しい長距離輸送を減らし、保管と組み合わせた地場の配送を重視する。特に倉庫分野の拡充は、トラックの運転に不安がある高齢者を構内作業に活用するのも狙いの一つ。食品輸送と保管は、今後の成長戦略の基軸に据えている。 【写真=屋根にはソーラーパネルを敷き、環境対策に努めている】