国交・農水・経産省/ホワイト物流推進運動、荷主・国民と連携へ 年度内 賛同企業の募集開始 来月にも 呼び掛け内容確定
行政
2018/12/24 0:00
国土交通、農林水産、経済産業の各省は14日、「ホワイト物流」推進会議(野尻俊明座長、流通経済大学学長)を開き、ホワイト物流推進運動をキックオフした。年度内に運動の趣旨に賛同する上場企業や地域の主要企業を中心に企業の募集を始め、2019年度以降に賛同表明企業が自主行動計画を公表。荷待ち時間の削減、契約の書面化といった取り組みをそれぞれ行い、運動の拡大・深化を図っていく。(田中信也) ドライバー不足が深刻化する中、国民生活や産業活動に必要な物流機能の安定確保、日本経済の更なる成長に寄与するため、①トラック輸送の生産性向上・物流の効率化②女性や高年齢層を含む多様な人材が活躍できる働きやすい労働環境の実現――に向け、荷主、物流事業者、国民の3者の連携・協力・理解を深める運動を強力に推進していく。運動は、自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用される23年度末を期限としている。 国交、農水、経産の3省が共同事務局を務める推進会議には、経済・荷主団体から経団連の井阪隆一・評議会副議長兼運輸委員長、日本商工会議所の上野孝副会頭、全国農業協同組合中央会(JA全中)の金原寿秀副会長、日本農業法人協会の山田敏之会長が出席。物流関係・業界団体からは日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の遠藤信博会長、日本物流団体連合会の田村修二会長、全日本トラック協会の坂本克己会長、交通・運輸団体では交運労協の住野敏彦議長、運輸労連の難波淳介委員長、交通労連の山口浩一委員長が参加している。これに有識者の野尻氏、神奈川大学の齊藤実教授、立教大学の高岡美佳教授も委員として加わっている。 政府の自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議(野上浩太郎座長、官房副長官)と共同で14日に首相官邸で開いた初会合では、運動の趣旨と推進方針を決定した。運動は両会議に加え、国交、厚生労働の両省が共催するトラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会・地方協議会とも連携。1月か2月に開催予定の中央協議会の会合で、企業や国民への詳細な呼び掛け内容などを確定する。 運動の進め方は、企業(荷主、元請事業者)に対して「コンプライアンス(法令順守)」「企業の社会的責任(CSR)」「安定的な事業継続」「物流システムの効率化・トータル物流コストの最適化」の観点から運動の趣旨に賛同してもらうことを第1段階としている。第2段階では「荷待ち時間の削減」「荷役の機械化」「契約の書面化」といった具体的な取り組み項目について自主行動宣言を提出・公表し、取り組みを行うことを想定。今後開設する推進運動のウェブサイトに賛同企業を掲載し、広く公表する。 第1段階の運動への賛同宣言では、必須事項に①物流の持続的・安定的な確保を経営課題として認識し、経営トップ層の主体的な関与の下で物流システム改善への積極的な取り組み②法令違反が生じる恐れのある契約や、運送内容見直しに適切に対応するなど取引先の物流事業者が労働基準関係・貨物自動車運送事業関係法令を順守できるような配慮・協力③発注内容があいまいな運送契約を結ばない、契約条件に明示されていない付帯作業をドライバーに求めないよう契約条件の明示を徹底④ドライバーの働き方改革の実現に向けて、発・着荷主となる取引先や物流事業者と協力して対応――を定める。 第2段階の自主行動宣言では「契約の合理化」「生産性向上」「その他各企業が自主的に取り組む」の推奨事項から、任意の項目を選択して宣言することをイメージしている。 国民に向けては、宅配便の再配達削減や引越時期の分散などへの理解と協力を要請。具体的には、政府広報や関係団体の広報媒体を活用した活動を行う予定だ。 一方、物流事業者は、ドライバー確保のための労働条件・労働環境の改善に取り組むとともに、荷主・元請事業者に対し、働きやすい環境の整備や女性の活用といった物流の改善につながる提案を行い、実践していく。 【写真=今後開設する推進運動のウェブサイトに賛同企業を掲載し、広く公表】