郵船ロジ、新輸送技術の特許取得 品質平準化につなげ
物流企業
2018/12/17 0:00
海上コンテナ輸送で、荷積みの品質平準化に寄与する――。郵船ロジスティクス(水島健二社長、東京都港区)は海上コンテナ輸送でエアーバッグと発泡スチロールを使った新輸送技術の特許を取得し、鉄鋼製品などBtoB(企業間)の川上の荷物を対象に、順次サービスを提供する。従来の方法と比べ、コスト・安全性・積載率に優れるほか、荷積みの輸送品質の平準化にもつながる。年明けに線材を対象としてトライアルを開始することを目指す。その後、サービスではなく商品として提供することも視野に入れる。 13日に横浜市鶴見区の大黒ふ頭で、新輸送技術のデモンストレーションを行った。 コンテナの内壁や荷物に形状を合わせてカットした発泡スチロールと、エアーバッグを活用。二つの発泡スチロールでエアーバッグを挟んで1セットとし、コンテナ内の荷物を固定する。 新輸送技術は8月、自動車部品などの材料となるアイアップコイルのトルコ向け輸送でトライアルが行われ、既に実輸送でも導入されている。アイアップコイルでは従来、木材などを組み合わせてコンテナ内の荷物を固定しており、人手とコストが掛かる上、作業者の熟練度によって荷積みの品質にバラつきがあった。 こういった課題を踏まえ、同社では輸送技術を開発し特許を取得した。新輸送技術では、コンテナ内に発泡スチロールと荷物をセットしてエアーバッグを膨らませれば固定でき、荷下ろしをする際もエアーバッグの空気を抜けば取り出せるため、労力が掛からない。また、木材などを使うより、コストを抑えられる。加えて、コンテナ内で荷物が内壁とこすれて起きる商品事故を防ぐことができる。 港湾労働者の評判は良く、時短につながっている。働き方改革にも寄与するものとみられる。 年明けに線材の輸送でトライアルを行う方針。従来は不可能だった斜め積みを可能とするため、積載率の向上につながる。更に今後、鉄鋼材を中心としたBtoBの川上の荷物などで、サービス対象を拡大することも視野に入れる。 まずは輸送サービスとして提供。いずれはエアーバッグと発泡スチロールをセットにした商品として販売することを見込む。(辻本亮平) 【写真=発泡スチロールとエアーバッグでコンテナ内の荷物を固定】