道北ロジ、地元産品の混載輸送へ 片荷なくし物流効率化 地域活性化の新モデル
物流企業
2018/12/17 0:00
道北ロジスティックス(松下賢二社長、北海道名寄市)は13日、同市の道の駅を貨物の集積拠点とし、地元産品の混載輸送を目指す取り組みを始めた。同日にコールドロールボックスを2台導入し、試験輸送に着手。地元の輸送情報を集約・提供することでトラックの片荷輸送を無くして物流効率化を図る。併せて、生産者の輸送コストを下げることで、地域産業の振興を目指す。新たなビジネスモデルとして確立されれば、過疎化に悩む道内の他エリアや全国の各地域に波及する可能性がある。(土屋太朗) 農水産物の生産地である名寄市などの道北エリアは、各地域間の距離が長く、片荷輸送が常態化。小ロットの産品の輸送には、高いコストが掛かっている。その上、少子高齢化やドライバー不足も進んでおり、今後はこうした課題がより深刻化すると見込まれている。 こうした中、道北ロジは13日、道の駅「もち米の里なよろ」にコールドロールボックスを導入。道の駅の商品を輸送する際、これまでは宅配便が活用されていたが、配送先が本州などで長距離になる場合、輸送費が高くなるのがネックだった。コールドロールボックスを活用することで、温度管理の必要な商品の混載輸送が可能になり、輸送に掛かるコストの削減が見込める。 まずは試験的に、ロールボックス2台を石狩市の冷蔵倉庫まで輸送。このうち1台には、道の駅に併設する工場で作った大福を積み、温度変化や品質の状態などを調べる。その上で、今後の本格展開につなげたい考え。取り扱い品目の第1号となる大福は、来年にも開かれる本州での見本市に出品する予定で、その際、道北ロジの取り組みもPRしていく方針だ。 事業の経過状況に合わせ、道北エリアの農水産物の生産者や加工会社、物流事業者に声を掛け、協力を募る。道北エリアの輸送情報を吸い上げ、共同輸送を推進。トラックの片荷輸送を無くすことで物流効率化を図るとともに、生産者の輸送コストを下げて地域産業の発展につなげる。 道北ロジは、地域の輸送情報を集約・提供する利用運送事業者として10月に設立。地元商工会議所の青年部の活動が発端となり、誕生した。青年部は16年3月、親会の商工会に対し、名寄市を道北の物流拠点として機能させるため、インターチェンジ付近にトラックステーションを整備するよう提言。その後、同市で開かれた経済フォーラムなどがきっかけとなり、17年10月に協議会が発足し、物流システムの構築に向けて具体的な検討が始まった。 青年部の立ち上げに携わった松下社長は不動産会社の経営者だが、青年部での活動を通じて物流拠点としての同市の重要性を認識し、道北ロジの社長に就任。同社の意義を、物流を通じて地域活性化を図る「地域物流会社」と位置付ける。 松下氏は「『物流』の観点で街づくりをしていく。時間は掛かるが、まずは地域物流会社として認知・信頼されるよう取り組み、我々のケースが北海道以外にも広がるようにしたい」と強調する。 【写真=道の駅「もち米の里なよろ」でコールドロールボックスを導入】