東北道「降雪時」移動時間 関東の事業者にも提供 国交省 実証実験の規模拡大
行政
2018/12/10 0:00
国土交通省は宮城、福島の両県のトラック運送事業者に、降雪など冬期の気象変化により東北自動車道での移動時間がどれだけ延びるか情報提供している実証実験で、今冬から情報提供の対象に関東圏の事業者を加える。併せて、2月のみだった実験期間を、12月中旬から2月末までに拡大。実験の規模を大きくし、より広範囲なサービスへの需要があるか調べる。(辻本亮平) 11月30日の地域道路経済戦略研究会(羽藤英二座長、東京大学大学院教授)で、2018年度の方針案を報告した。 同研究会では北海道、東北、北陸、九州、沖縄の各ブロックで、産学官の連携によるETC2.0(次世代型自動料金収受システム)を活用した交通管理の方策の有用性を実証している。東北ブロックでは、ETC2.0で収集した東北道・白川インターチェンジ(IC)―仙台宮城ICの162キロメートルの通行時間データを降雪量の観測データ・予測値とリンクさせ、同区間を通過するのに必要な時間を予測。ウェブサイトで公開し、スマートフォン(スマホ)でも閲覧できるようにしている。 実証に当たっては、宮城県トラック協会(須藤弘三会長)と福島県トラック協会(右近八郎会長)の協力を得て、80者のトラック運送事業者に情報提供を受けるよう依頼した。2017年度の実証では、期間中に206件のアクセスがあり、所要時間の予測精度は良好だった。 ただ、実験後に行ったアンケートによると、システム利用者は9人にとどまった。年代が上がるほど、天気予報を見て経験則で所要時間を予測するため、システムを必要としない傾向にあった。運行管理者からは、提供して欲しい情報として通行止め解除の目安時間、渋滞・災害時のう回路、路面状況などが挙がった。 18年度は所要時間の予測の精度を上げるとともに、実験で情報提供する対象者や実験期間を拡充する。宮城、福島の両県以外で、同区間を通行することが多いエリアの事業者に協力を依頼。その対象として、栃木、茨城、埼玉、千葉の各県を挙げた。加えて、路面状況や規制についての情報提供も行う。 【写真=東北道・白川IC―仙台宮城ICの通行時間データを降雪量の観測データ・予測値とリンク】