取引労働改善青森協、中継輸送で睡眠の質向上 青森―仙台―埼玉 パレット活用に賛否両論
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2018/12/03 0:00
【青森】トラック輸送における取引環境・労働時間改善青森県協議会(井上隆座長、青森大学教授)が10月に取り組んだコンサルティング事業で、中継輸送の課題が浮き彫りになった。さいたま市向けの野菜輸送で、貨物を仙台で積み替える方式で実施。ドライバーの睡眠の質が向上したり、肉体的な負担が軽減されたという意見がある半面、パレット積みに対する賛否や中継のメリットに関する疑問も投げ掛けられた。こうした結果を11月14日の会合で報告。今後は費用対効果などを検証していく。(今松大) 実験は10月24、25の両日に行った。対象集団は、発荷主が十和田おいらせ農業協同組合(JA十和田おいらせ、竹ヶ原幸光組合長)で、運送事業者は蕪島高速運輸(市沢美津子社長、八戸市)と盛運輸(盛大剛社長、青森市)の2社。着荷主として、浦和中央青果市場(石原俊明社長、さいたま市桜区)が参加した。通常はネギやダイコンをバラ積みで集荷しているが、今回はパレットの活用を試みた。 現状ではトラック1台で青森県を午前8時に出発し、午後6時ごろ荷下ろし先に到着。翌日の午後3時をメドに復路に就き、出発から48時間後の午前8時に青森県に着いている。 2日間の実験では、青森からの輸送を蕪島高速運輸が担当。スタートを1時間半遅らせ、午後3時ごろに仙台の中継地で荷物を積み替えた。仙台から盛運輸のトラックが運行し、午後10時頃に荷下ろしを終えた。両社の帰り便はそれぞれ冷凍食品を積み出発地へ戻った。 パレット利用に関しては、発荷主から「生産者の荷台とサイズが合わず、2度手間になる」「夏季は冷気が回らなくなる」などの懸念が浮上。一方で、運送事業者からは効率の良さを指摘する声が上がった。 貨物積み替えについては、「1日目で帰庫でき、睡眠の質が確保できる」(蕪島高速運輸)や「帰庫後は休日となり、肉体的負担が軽減された」(同)、「荷受人が待機していたため、スムーズに荷下ろしを行えた」(盛運輸)など、一定の評価が示された。ただ、運送事業者には、現状では中継輸送への大きなメリットが感じられない様子もうかがえる。発荷主からは、ハブステーション化やトレーラ方式の実現などの提言もあった。 今後は、中継輸送の更なる深掘りのため、トレーラ方式とドライバー交代方式を検討するほか、青果物のパレット輸送定着に向けた検討を進めていく予定。 【写真=仙台市で荷物を積み替え(一部画像処理)】