物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

日本郵便、土曜休配へ法改正要望 送達日数 3日→4日も 荷物分野に人員再配置

物流企業

2018/11/22 0:00

 日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田区)は16日、総務省の情報通信審議会(総務相の諮問機関)の委員会で、普通郵便の配達について、土曜日を休配日とする制度改正を要望した。併せて、送達日数をこれまでの「原則3日以内」から1日延ばすことも求めた。週休2日制を確立するとともに深夜帯の勤務を減らし、働き方改革を進めたい考え。加えて、EC(電子商取引)の台頭により需要が増している「ゆうパック」などの荷物分野に、これまで郵便に充てていた配達員を再配置する。同省はこの要望を受け同日、制度改正の検討に入った。(辻本亮平)  手紙やはがきの需要減を踏まえ、同日の郵便局活性化委員会(米山高生主査委員、東京経済大学教授)で制度改正を求めた。郵便法では、「月曜日~土曜日の6日間で、1日1回以上、郵便物を配達」「郵便物を差し出された日から3日以内に送達」することなどが定められているが、これらを改正し、働き方改革の推進や収益の改善、サービス料金の見直しにつなげる。  なお、日本郵便は制度改正の対象として普通郵便を挙げており、速達などは含まない方針。一方、荷物として取り扱われるものでも、現時点で普通郵便と同じオペレーションにより配達されている「ゆうメール」の一部などは、制度改正の対象としたい考えだ。  日本郵便によると、土曜日を休配日とすることで、現在、土曜日に出勤する普通郵便の配達要員5万5千人のうち、4万7千人分の再配置が可能となる。他の曜日に振り分けて人員不足の解消を図るとともに、ECの進展で、物量が増加する宅配便などの荷物分野に再配置する方針。送達日数の見直しでも、深夜帯で郵便業務に従事する社員8700人のうち、5600人の再配置を見込んでいる。  制度改正について、桑津浩太郎委員(野村総合研究所研究理事)は「今回の要望は英断。ただし、これは『最後の刀』で、一度きりの手法だ。制度改正が実現した場合、(収益改善までの)3、4年間の猶予をもらったと考え、リソースの有効活用に努めて欲しい」と要望。泉本小夜子委員(公認会計士)は「郵便事業の改革だけでなく、荷物についても、再配達削減などの取り組みを進めるべき」と指摘した。  普通郵便は現在、木曜日までに差し出せば、週末までに届いている。しかし、土曜日を休配日にするとともに、送達日数を1日延ばした場合、水曜日までに差し出さなければ週明けの配達となる。同委では同日、日本郵便の要望を踏まえて検討課題を整理。今後、妥当性やユーザーの納得感を念頭に、制度改正について検討を進めることとした。  12月7日の次回会合で、改めて検討項目を整理するとともに、今後のスケジュール案を提示する。 【写真=土曜日を休配日にすることで、土曜日に出勤する普通郵便の配達要員の再配置が可能となる(イメージ写真)=一部画像処理】





本紙ピックアップ

公取委と中企庁、研究会発足

 公正取引委員会と中小企業庁は、サプライチェーン(SC、供給網)全体での適切な価格転嫁の取引環境実現に向けた官民の検討を開始した。現状の買いたたき規制の執行強化に加え、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正を視野に、「…

北海道半導体人材育成推進協、物流課題調査へ検討会

 北海道で半導体関連産業の基盤強化を目指す「北海道半導体人材育成等推進協議会」は、関連する物流課題を調査するとともに、専門の検討会を設ける。秋ごろをメドに初会合を開き、年度内に現状の課題と対応策を整理する。18日、札幌市…

ヤマトオートワークス、事業者の最適稼働に貢献

 ヤマトオートワークス(金井宏芳社長、東京都中央区)は「稼働を止めない」を掲げ、物流・運送事業者のアセットの最適稼働に貢献している。整備計画や実績はデジタルデータで顧客と共有し、営業担当が顧客を月1回訪問して掛かったコス…

北陸道開通後/NEXCO調べ、農水産品の輸送量8倍

 中日本高速道路と東日本高速道路のNEXCO2社が19日発表した北陸自動車道に関する調査によると、部分開通された1972年から50年で、北陸から全国に向けた農水産品の輸送量が8倍に増えたことが分かった。新潟、富山、石川、…

オススメ記事

外国人労働者雇用、「社会全体の適応」重要

 人手不足を背景に、外国人労働者の採用が増えている。永住権のある外国人の採用をはじめとした従来の雇用の枠組みに加え、外国人在留資格の「特定技能制度」に自動車運送業が追加されるなど、様々な背景の外国人労働者が活躍できるよう…

公取委と中企庁、研究会発足

 公正取引委員会と中小企業庁は、サプライチェーン(SC、供給網)全体での適切な価格転嫁の取引環境実現に向けた官民の検討を開始した。現状の買いたたき規制の執行強化に加え、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正を視野に、「…

北海道半導体人材育成推進協、物流課題調査へ検討会

 北海道で半導体関連産業の基盤強化を目指す「北海道半導体人材育成等推進協議会」は、関連する物流課題を調査するとともに、専門の検討会を設ける。秋ごろをメドに初会合を開き、年度内に現状の課題と対応策を整理する。18日、札幌市…

ヤマトオートワークス、事業者の最適稼働に貢献

 ヤマトオートワークス(金井宏芳社長、東京都中央区)は「稼働を止めない」を掲げ、物流・運送事業者のアセットの最適稼働に貢献している。整備計画や実績はデジタルデータで顧客と共有し、営業担当が顧客を月1回訪問して掛かったコス…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap