国交・経産省、制度・体制を来年整備 空飛ぶクルマ官民協議会 ロードマップ案示す
行政
2018/11/22 0:00
国土交通、経済産業の両省は16日、空の産業革命に向けた官民協議会を開き、「空飛ぶクルマ」の実現に向けたロードマップの素案を提示した。2019年に制度・体制の整備と、機体・技術の開発をスタートさせ、20年代の早期に事業化。ドローンから空飛ぶクルマ(人の移動)、物の輸送(物流)の順で展開していく道筋を示している。12月下旬の次回会合で、最終案を討議し、策定する予定だ。 制度・体制の整備では、利用者の利便性の検討や、機体の安全性確保の基準の整備から着手する。その後、事業者がビジネスモデルを提示するとともに、機体の安全性の基準を構築し、試験飛行から本格飛行(事業化)を目指していく。 事業化後は、地上からの遠隔操作、機上やシステムなどによる自律飛行などの技術開発に応じた制度や、安全性基準・精査方法を絶えず見直していくほか、30年代までに離島や山間部から都市部への拡大を図る――などとしている。 機体・技術の開発では、自動・自律飛行や運航管理システムの技術開発を進め、事業化後は地上からの遠隔操作の実現、航続距離の向上などに取り組んでいく。 また、ヤマトホールディングスと米ベルヘリコプターが共同で開発を進めている、物流用の電動垂直離着陸機(eVTOL機)を活用した輸送モードについて説明した。ヤマトHDの牧浦真司常務執行役員は「乗用車とトラックのように、物流用の機体は旅客用とは別の仕様になる」と強調。19年夏までに試験飛行を実施し、20年代半ばまでの実用化を目指す。ベルヘリコプターの正村卓也営業部長は「災害支援物資や血液・医療品の輸送に活用したい」と構想を語った。 意見交換では、物流での活用に関して「荷物は到着後の仕分けが必要なので、物流施設との連携やトラックとの整合性などを考えないといけない」(牧浦氏)との指摘があった。一方、「(命にかかわる)人と違い、高温度・高湿度などの悪条件にもある程度耐えられ、(墜落などによる)損傷についても保険などでカバーできるなど許容性がある」(国交省総合政策局の山田輝希物流政策課長)と、試験段階で先行できるとの見解も示された。(田中信也) 【写真=ヤマトHDと米ベルヘリコプターが共同で開発を進めている、物流用eVTOL機を活用した輸送モードについて説明】