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国交省/交政審港湾分科会、自動化技術で生産性向上 基本方針を抜本的見直し 港湾開発など 「たたき台」示す

行政

2018/11/19 0:00

 国土交通省は、港湾の開発、利用などに関する基本方針を抜本的に見直し、施設の老朽化を踏まえた機能の再配置やAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、自動化技術を組み合わせたコンテナターミナルの生産性向上など、新たな港湾政策に取り組む方針だ。2019年2月ごろ方針案を公表し、意見公募などを経て、3月末にも基本方針の変更を告示する予定。14日の交通政策審議会港湾分科会(小林潔司分科会長、京都大学経営管理大学院教授)で、変更案の「たたき台」を示した。 (田中信也)  基本方針は、国の港湾行政並びに港湾管理者が個別の港湾計画を策定する際の指針として定められているが、部分的な追記・修正が繰り返し行われ、冗長な記述や重複が増え、分かりにくくなっている。  こうした中、産業・物流構造の変化や資源獲得競争の激化、海運業界のアライアンス再編などにより国際基幹航路の寄港先が絞り込まれ、港湾政策を巡る情勢が変化。取り組むべき内容も大きく変わったことから、2030年を見据えた中長期政策「PORT2030」を7月に策定。これを契機に、中長期政策の方向性や施策を踏襲しつつ、基本方針の抜本的な見直しに着手した。  今会合で示された「たたき台」では「人口減少・超成熟社会の到来と労働力不足」「第4次産業革命の進展」「巨大災害の切迫とインフラの老朽化」など国内外の社会経済情勢を考慮。政策メニューとして、テーマ別に①効率的で安定したコンテナ物流サービスの提供②資源エネルギーの安定的確保とエネルギー輸送の生産性向上③労働供給力低下など直面する課題への対応④日本や地域の基幹産業・成長産業を支える物流網の強化⑤静脈物流網の強化――などを挙げた。  コンテナ物流サービスの提供では、国際戦略港湾での国際基幹航路の多方面・多頻度直行サービスの充実、再生部品の輸出や越境修繕サービスといった新たな付加価値を提供するロジスティクスハブ機能の強化、AI、IoT、自動化技術を組み合わせたコンテナターミナルの生産性向上、LNG(液化天然ガス)バンカリング拠点機能の確保などを挙げた。  資源エネルギーの安定的確保とエネルギー輸送の生産性向上に向けては、国際バルク戦略港湾での大型船の受け入れ環境整備と企業間の共同輸送促進や、老朽化・陳腐化した生産性設備の更新に合わせた輸送インフラの更新・改良を提示。労働供給力低下への対応では、IoTを活用した内航ユニットロードターミナルの高度化・効率化策として、荷役機械・乗降施設の高度化、自動運航船に対応した自動離着岸施設の設置などを列挙している。  一方、物流網強化に関しては、老朽化・陳腐化した物流施設の高度化や冷蔵・冷凍コンテナの導入、物流効率化・交通混雑緩和のためのインランドポートの整備・利用促進を盛り込んだ。 【写真=国内外の社会経済情勢を踏まえ、テーマ別に政策メニューを提示】





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