四運局/災害に強い物流システム連絡会、被災想定し官民連携へ 西日本豪雨 手荷役など課題残る 香川で実働訓練 来年1月
行政
2018/11/12 0:00
四国運輸局は2日、高松市で災害に強い物流システムの構築に関する担当者連絡会を開き、西日本豪雨で被災した愛媛県での支援物資輸送の課題として「被災を想定した行政と民間企業の連携」を挙げた。特に「避難所までのラストワンマイル輸送と体育館での手荷役に課題を残した」と指摘。2019年1月には、香川県で南海トラフ地震を想定した実動訓練を行い、作業の手順や関係機関との連携について確認する。(江藤和博) 連絡会には四国4県の自治体や物流事業者、トラック協会、倉庫協会などが参加。終了後は災害物資輸送セミナーが開かれ、日本通運の丸尾克己業務部専任部長が「なぜ被災地に物資が届かないのか? 失敗から学ぶ、災害ロジスティクスの原理」をテーマに講演した。 連絡会は、2013年度から4県それぞれでスタート。17年度からは合同開催しており、今回で7回目となる。これまで官民の協力体制の強化や民間物資拠点のリストアップなどに取り組み、実地訓練やセミナーも実施。民間物資拠点は18年11月までに37カ所をリストアップし、支援物資輸送マニュアルを香川県が15年度に、徳島、愛媛、高知の各県は17年度に、それぞれ策定している。 今回の大きなテーマは愛媛県の支援物資輸送。7月10日、JAえひめ中央伊予選果場(伊予市)に1次(広域)物資拠点が、大洲市、西予市、宇和島市の体育館や市役所にも2次(地域)物資拠点がそれぞれ開設された流れについて、四運局が説明した。 良かった点として①フォークリフトやパレットのあるJA選果場を1次拠点として借りることができたため、物資の搬入出が円滑に行えた②集積所のボランティアの協力により、荷造りが円滑にできた③被災後、宇和島市からすぐに協力要請があり、輸送体制を早期に構築できた――が挙げられた。 一方、課題点となったのは「被災を想定した行政と民間企業の連携」。四国運局の久保田東宏環境・物流課長は「愛媛県の支援物資輸送では避難所までのラストワンマイル輸送と体育館での手荷役に課題を残した」と指摘し、今後も連携強化策を検討していく考えを示した。 また、19年1月10日に香川県で、南海トラフ地震を想定した実動訓練を行うことを報告。作業の手順や関係機関との連携を確認しておくのが目的で、サンメッセ香川大会場(高松市)を1次、坂出市立体育館を2次の物資拠点とし、坂出市内2カ所の避難所に救援物資を配送する訓練を行う。 セミナーで講師を務めた丸尾氏は、四国の救援物資輸送体制について「よく整備されている」と評価しながらも、浸水リスクのある地区に物資拠点がリストアップされていることを指摘。更に、「四国4県だけでなく、バックヤードとして兵庫、岡山、広島の各県を含めた7県が連携し、広域圏で物資の需給調整を行うことが必要」と述べた。 【写真=「7県の連携が必要」と日通の丸尾部長】