国土交通省/中京圏「高速道通行料金」見直し、来秋にも新体系の方向性 国幹道路部会が小委員会立ち上げ 業務利用 「曜日・時間別」意見も
行政
2018/11/12 0:00
国土交通省は7日、中京圏の高速道路通行料金の見直しに向け、社会資本整備審議会道路分科会の国土幹線道路部会に中京圏小委員会(寺島実郎委員長、日本総合研究所会長)を立ち上げた。同日の会合で、圏内の道路交通ネットワークの概況と料金水準の状況について道路局が報告。トラック、バスなどの業務利用では、時間別に料金を設定する意見などがあった。来秋にも国幹道路部会に新たな料金体系の方向性について提示する。(田中信也) 中京圏の高速道路通行料金の見直しに向け、地元の有識者の知見を反映させるため設置。7日の初会合では中京圏の産業、インフラ、災害対応などの現状と将来像、圏内の道路交通ネットワークの概況と料金水準の状況に関する道路局の報告を受け、意見交換を通じて今後の検討に向けた課題を抽出した。 中京圏は、圏内を通過する交通の大半が東名高速道路など東海環状自動車道の内側を経由しており、整備が進んでいる東海環状、新名神高速道路、名古屋第二環状道路といった新たなネットワークを活用した交通の適切な処理が課題となっている。 また、名古屋市の中心部が発着地となっている交通が多く、各方面への利用の分散や、一宮ジャンクション(JCT)付近、名古屋中心部などの特定箇所での渋滞が課題となっている。均一料金制の名古屋高速道路公社が運営する路線や名古屋第二環状の取り扱いも論点に挙げている。 会合では、利用形態を①圏内を通過②圏内―圏外③圏内のみ――に分けて交通流動を開示。通過交通では東名高速から名神高速道路、中央自動車道の利用が大半を占め、圏内―圏外は東名高速、知多半島道路、東名阪自動車道からの利用が多い。圏内のみ交通は名古屋市中心部発着が6割弱に上る。 こうした利用実態から一宮JCT付近や、東名阪道の四日市インターチェンジ(IC)付近に渋滞が集中。東海環状の両側暫定2車線区間も、活用上の課題となっている。 更に、各路線の料金水準についても提示した。距離制の区間は、東名、名神、東海北陸自動車道が1キロ当たり24円60銭で、高速自動車国道の地方部並。一方、東海環状は34円、伊勢湾岸自動車道では39円40銭で、外側などへの利用分散の上でネックとなっている。 均一料金区間も、名古屋二環が1キロ当たり最長14円40銭~最短850円、名古屋高速道路・名古屋線29円20銭~1925円、同・尾北線40円40銭~600円とばらつきがある。 意見交換では「首都圏の交通ネットワークと共通するところが多い」との認識は一致したものの、「中京圏はクルマ社会で道路行政への理解もあるが、価格に敏感なので、距離制に移行するに当たっては価格設定に注意を払う必要がある」(内田俊宏・中京大学客員教授)との指摘があった。 一方、「(トラック、バスなど)業務利用では定時制、速達性を重視するので曜日別、時間別(で高めにする)料金設定を考えても良い」(内田氏)との見方もあり、「首都圏や関西圏より踏み込んだ戦略的な料金設定を検討すべき」(家田仁・政策研究大学院教授)との提案も上がった。 【写真=中京圏内の道路交通ネットワークの概況と料金水準の状況に関する事務局の報告を受け、意見交換】