小樽倉庫、荷役にAIロボ導入 作業員の負担大幅減 カメラ認証でミス防止
物流企業
2018/11/01 0:00
小樽倉庫(山本信彦社長、北海道小樽市)は倉庫荷役の作業負担を軽減するロボットを活用し、現場の労働環境改善を進めている。重さ30キロの砂糖袋を自動でベルトコンベヤーに移す装置を2台導入し、AI(人工知能)やカメラ認証の機能で作動ミスを防止。同タイプのロボットの導入は、北海道内の企業では同社が初めてという。今後も、稼働状況の可視化など機能強化に取り組む方針で、IT(情報技術)投資を進め、作業員不足を補っていく。(土屋太朗)
道内の砂糖の集約拠点である苫小牧物流センターの第2倉庫(苫小牧市)で5月に導入した。一般的な倉庫では、工場で作られた砂糖の保管のみを手掛けるが、同社はこれに加え、袋に詰められた砂糖をフレキシブルコンテナバッグに移すサービスも提供。1日当たり3600袋、年間で2万5千トンを取り扱う。
ロボット導入前は、作業員が30キロの砂糖袋を1袋ずつパレットからベルトコンベヤーに手作業で移す必要があり、体への負担が大きかった。
そこで同社は2017年から、荷役ロボットやエレベーターの製造を手掛ける不二輸送機工業(米中郁雄社長、山口県山陽小野田市)や、物流機器販売・メンテナンスを行う産機テクノ(佐藤猛社長、札幌市東区)と導入に向けて検討を開始。不二輸送機工業の「フジエース」を基に、新たな機能を採り入れたロボットの開発に漕ぎつけた。
通常、ロボットが袋の両側を挟むようにして運ぶため、金属が袋に触れる部分が大きく、砂糖袋を傷付ける懸念があった。そこで、導入したロボットは袋の1点のみに接し、吸着部を真空にして持ち上げる仕組みとした。持ち上げてからベルトコンベヤーまでの動線も短くすることで、設置スペースも最小限に抑えた。
ただ、パレット上の砂糖袋は、積まれ方が同じでも1袋ごとに向きやしわの位置が違うため、持ち上げ方によっては袋が破れる可能性もある。これを防ぐため、AIとカメラ認証を活用。機械の上部に取り付けたカメラが袋の位置を確認、どこを吸着すれば破損しないかを判断する。エラーが出た場合でも、AIがエラーの内容を分析・修正する。
導入費用は5千万円超。処理スピードは従来とそれほど変わらないが、これまで作業員が敬遠していた重労働が無くなり、労働環境は大幅に改善。山本社長は「現場の雰囲気が良くなった」と強調。渡辺博史・取締役営業本部長も「導入に当たり、レイアウトを変えてスペースが広くなったことで、文字通り庫内が明るくなった。事故の削減にもつながる」と語る。
今後は、ロボットの稼働状況を管理者が離れた場所でも確認できるようにする「見える化」や、ペーパーレス化を進めていく。
【写真=稼働状況の可視化など機能強化に取り組む(苫小牧物流センター)】