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臨時国会/外国人労働者受け入れ拡大、物流対象外も検討継続 業界の機運醸成が前提 運転者 「安全性」環境整備を

行政

2018/10/29 0:00

 24日開会した臨時国会は、12月10日まで48日間と会期が短いため、政府提出法案は13本程度にとどまる見通しだ。この中で目玉となるのが、外国人労働者の受け入れを拡大する入国管理法改正案で、介護や農業、自動車整備、航空など14業種を対象とする方針。現時点で「物流」は含まれていないが、政府・与党は「拡大の余地がある」として、物流業界の機運を踏まえつつ、継続的に検討していく構えだ。(田中信也)  入管法改正案は、中小・小規模事業者での労働力不足の深刻化を踏まえ、外交官や大学教授といった高度専門職や、技能実習制度に基づく実習生とは別に、特定の産業分野に絞って新たな在留資格「特定技能」を創設するもので、2019年4月からの受け入れを目指している。  特定技能は習熟度に応じて、在留期間の上限が通算5年で配偶者や子供を帯同できない1号と、家族の帯同が可能な2号に分類。対象分野での労働力不足が解消されたと認められた場合、受け入れを停止または中止する。  対象分野は現時点で、介護や農業、製造機器のほか、自動車整備業、空港のグランドハンドリングなど14業種を検討。具体的には、法成立後に定める分野横断の基本方針を閣議決定し、更に「分野別運用方針」も定め、規定を整備する。  在留資格の創設は、安倍晋三首相からの「専門的・技術的な外国人の受け入れに向け、制度改正の検討を始めて欲しい」との指示を受け、6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針18」(骨太の方針)で方向性を決めた。検討当初、14分野に含まれていない「物流」も候補に挙がっており、関係省庁の課長級で構成する外国人受け入れ制度の在り方に関するタスクフォースでは、トラック運転者不足など物流分野の現状について国土交通省からヒアリングしている。  労働力不足が最も懸念されるドライバーについては、安全性の観点から外国人の運転・就業への抵抗感も少なくなく、更なる環境整備が必要と判断された模様。しかし、当面の対象業種からは漏れたものの、継続的に検討していく方針は変わっていない。国交省総合政策局の物流政策課は荷役、仕分けなども含めた物流業務全般での受け入れについて「物流業界の機運醸成が前提」としており、業界の統一方針が固まり次第、俎上(そじょう)に載せる構えだ。  ただ、外国人労働者の受け入れ拡大に対し、立憲民主など主要野党は「事実上の移民政策」として強く反発。臨時国会で入管法改正案が成立するかは不透明な情勢だ。  なお、臨時国会では、働き方改革の推進を目的に、全日本トラック協会(坂本克己会長)が議員立法での実現を模索する貨物自動車運送事業法改正案が提出されるか注目される。 【写真=主要野党は「事実上の移民政策」として強く反発し、成立は不透明】





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