マルシン運輸、労働意欲高め事故4割減 データ用い運転者と対話 「社員は宝」を体現
物流企業
2018/10/22 0:00
【東京】マルシン運輸(浅木誠社長、東京都江戸川区)は、作業負担の軽減並びに労働時間の適正化に力を入れている。浅木社長が以前から唱える「社員は宝」を体現する一環として、ドライバーの労働意欲を高める数々の施策を実行。ドライバー不足が一段と深刻化していくことを見越し、会社の屋台骨を支える担い手を呼び込むための基盤整備に取り組んでいる。ドライブレコーダー(DR)とデジタルタコグラフを全120台に取り付けたのに続いて、全長16メートルの大型トレーラに対応する洗車機を9月から本部営業所(千葉県市川市)に導入した。(沢田顕嗣) DRとデジタコは管理が主眼ではなく、ドライバーの身を守ることに力点を置いた投資。「デジタコのデータを手元に、個々のドライバーと直接対話を図っている」(浅木伸彦取締役部長)。対面でのコミュニケーションを大切にすることで、ドライバーの意欲を盛り立てる。その結果、会社の意図するところよりも安全や品質に対する意識が高まり、「事故が4割くらい減少している」(浅木康二常務)という。 洗車機はドライバーの要望を受け設置したもので、洗車に要する時間が手洗いの半分の1時間に短縮された。冷凍食品の取り扱いを主体としており、車両の外観や見栄えが企業イメージを大きく左右するとして、他の営業所にも洗車機を据え付けることを検討していく。 同社は社員に一方的に仕事を押し付けることはせず、要望や要請には可能な限り応えている。洗車機のほかにも、公平性を保った配車を心掛け、一定の社歴を有するなどの前提条件は付くものの、車両のアクセサリーを会社の負担で購入している。 更には、大型自動車運転免許の取得希望者には合宿免許費用を負担。ドライバー個々に専用の車両を割り当てているのも、少しでも気持ちよく働いてもらいたいという願いからだ。 また、荷主に対しては取引条件の緩和などを粘り強く交渉。外食大手から受託している納品業務では、バラ積み輸送をパレット輸送に切り替えることに成功した。現在も荷主各社に待機時間の削減をはじめ、理解と協力を求めている。 50周年のメモリアルイヤーとなる2020年9月期に、売り上げを60億円(18年9月期は45億円)に引き上げるとともに、ドライバーを170~180人に増員したい意向。拠点は東京の湾岸エリアに新設ないし既存営業所の拡張を構想しているほか、将来的には関西への進出も視野に入れている。 成長戦略を推進していく上で、優秀なドライバーの確保は不可欠な条件となるため、更なる職場環境の充実と従業員の待遇改善を重要テーマに設定。浅木取締役部長は「今後も各営業所を頻繁に訪問し、ドライバーと顔を突き合わせながら、意思疎通を密にしていきたい。モチベーションを引き出しながら品質と安全のレベルをより高めることに力を注いでいく」と話す。 【写真=ドライバーの要望で洗車機を導入(本部営業所)】