経産・国交省/トラック隊列後続無人走行、設備増強し実験深化 概算要求 総額55億円
行政
2018/09/13 0:00
経済産業省と国土交通省が、2019年1月からスタートさせるトラック自動隊列走行の後続無人システムの公道実証実験は、19年度に実験用車両を増備した上で、実験の実施回数を増やし、実用化に向けた検証を加速させる。テストコースでの技術実証も、テスト用車両に改造を施して更に深化させる。 8月31日に経産省が発表した19年度予算概算要求では、国交省との連携事業の「高度な自動走行システムの社会実装に向けた研究開発・実証事業」として、自宅などへのラストワンマイルの自動走行と合わせて総額55億円を要求した。 トラック隊列走行は18年1、2月に新東名高速道路と北関東自動車道で後続車有人での公道実験を実施。19年1月には、東京―大阪での商業走行を22年度に実現する青写真を描き、後続車無人の公道実験を、緊急時対応用のドライバー同乗の下、初めて行う予定だ。 一方、車間距離や車線維持の制御、車線変更、急制動(急ブレーキ)など車両開発に必要な技術を検証するため、産業総合技術総合研究所つくばセンター(茨城県つくば市)で、テストコースでの無人隊列走行に17年10月から取り組んでいる。 車間距離35メートルで実施した後続車有人の実験では、他の車両の割り込みが多発。車間距離は現行法上22メートルが限界値だが、後続車無人の公道実験の実施に当たっては、「電子けん引」の要件に関する制度改正を行った上、車間距離を更に短縮して実施することも視野に入れている。こうした課題解消に向けては、実証実験の回数を増やす必要がある。 ただ、経産省などが保有する公道実験用のテスト車両(全長12メートルの大型トラック)は現在、1編成3台と予備車1台の計4台しかなく、実験回数の増加には限界がある。 また、公道実験を技術面から支えるコース実験用の車両も、民間事業者が所有する1編成(3台)しかなく、技術実証を更に進化させるためにも、国が保有するテスト用車両の導入が求められてきた。 このため、19年度の予算措置により、テスト用車両として2編成分と予備車を含めトラック計7台を増備。公道用とコース用に編成を振り分け、既存の車両と合わせそれぞれ2編成6台の体制に増強する。 後続無人の公道実験は、走行に必要な条件上、新東名のみで実施する見通し。一方、後続車有人の実験も19年度に引き続き実施する方針。1、2月に実施した北関東道の実験で高低差(勾配区間)の対応を検証したように、降雪といった過酷な条件を検証するため、新東名以外の路線で実施する可能性がある。 テストコースでの実証実験は9月末でいったん完了。実証で明らかになった課題の洗い出しと改善を施した上で、テスト車両を改造。車両の量産化などに向け、より高度な技術検証を行っていく。(田中信也) 【写真=テスト用に2編成分と予備車を含めたトラック計7台を増備(産総研つくばセンターでの実証実験)】