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改正食衛法/営業届出制度、温度管理物流も対象? 厚労省 検討会で座長発言

行政

2018/09/13 0:00

 厚生労働省が6日開いた「食品の衛生規制に関する検討会」で、食品衛生法などの一部改正に伴い創設される営業届出制度の対象業種について、五十君静信座長(東京農業大学教授)を含む委員から「温度管理が必要な宅配などの輸送については、(対象業種に入れる)検討の余地がある」という意見があった。事務局が提出したたたき台に、計画の提出を必要としない業種として「宅配を含む輸送業」が盛り込まれたことを踏まえたもの。具体的な対象範囲については今後、関係業界とのヒアリングも踏まえ、議論を進める。  営業届出制度は、対象の事業者が、事前に衛生管理計画を自治体に提出するよう求めるもの。届け出が不要な業種として、事務局が提示したたたき台には、宅配を含む輸送業に加え、冷凍冷蔵倉庫業者を除く常温倉庫が盛り込まれた。  関連業界とのヒアリングから、衛生管理の責任は荷主に求められると判断したためで、衛生管理計画は、保管・運搬についても荷主が作成することを示した。なお、冷凍冷蔵倉庫業者は現在、施設基準が一定の要件を満たしていないと営業できない「営業許可制度」の対象に指定されており、保健所による立ち入り検査が行われている。また、届け出が不要な業種では、輸入業や卸売業も挙げられた。  営業届出制度の対象業種について、五十君氏は「温度管理が必要な輸送については、検討の余地がある」と発言。加藤光夫委員(フーズデザイン社長)も、物流事業者の温度管理が問題になった過去の事例を挙げ「運送や倉庫の不備で荷物が駄目になったら、荷主はたまったものじゃない。(衛生管理計画の提出は)温度管理が必要なものについては必要ではないか」と述べた。  厚労省は、食衛法を現代の実態に適合させるため15年ぶりに改正し、6月に公布。営業届出制度の創設に加え、HACCP(ハサップ=危険度分析による衛生管理)に沿った衛生管理の制度化、営業許可制度の対象となる業種の範囲変更も行う。  検討会では、営業許可制度の対象範囲についても議論。富松徹委員(食品産業センター技術環境部長)は「(営業許可制度の対象範囲が変わったら)一部で事業を継続できない事業者が出てくる可能性がある。そうならないように配慮して欲しい」と要望。加えて、「ハサップの制度化に当たっては、それが施設基準に関するものではなく、ソフト面での体制整備であることを、事業者に明確に示して欲しい」と述べた。  このほか、農家が行う保管や輸送の取り扱い方も俎上(そじょう)に載った。これらの工程を「営業」とみなすかどうかは、現行では自治体によってバラツキがあり、衛生管理に関する取り扱い方が不明瞭。衛生管理の平準化に向け、今後議論する。  営業届出制度の対象範囲を含む今後の検討は、関係業界との意見交換の場を設け、進める。(辻本亮平) 【写真=今後、関係業界とのヒアリングも踏まえ、議論を進める】





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