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経産・国交省、空飛ぶクルマ実現むけ 拠点間物流など構想

行政

2018/09/06 0:00

 「空飛ぶクルマ」の実現に向けた官民共同の推進体制がキックオフ――。経済産業省と国土交通省は8月29日、「空の移動革命に向けた官民協議会」を設立し、初会合を開いた。  空中タクシーや宅配便のセンター間物流での運用、災害時の緊急搬送といった空飛ぶクルマの将来像、技術開発の見通しなどを官民の関係者が共有。民間の取り組みを政府などが支援するスキームや、社会に受容される安全確保のルールなどを示したロードマップの策定に向け意見を交わした。  人を乗せて自律移動できる空飛ぶクルマは、ドバイやシンガポールなどでは欧米企業と協力した実証実験が始まっており、ベンチャーから大企業まで様々なプレーヤーにより世界的に研究開発が進んでいる。日本でも自動車や航空機業界の有志団体や、ドローンなどのベンチャー企業、投資ファンドなど様々な分野の関係者が都市の渋滞を避けた通勤・通学や、離島・山間部での移動手段、災害時の救急搬送、迅速な物資輸送などの構想を描き、研究開発をスタートさせている。  これらの構想を具体化し、世界に先駆け日本の新しいサービスとして発展させることを目的に、経産・国交の両省は、官民の関係者が一堂に会する官民協議会を立ち上げた。6月に閣議決定した、政府の「未来投資戦略会議2018」で示された18年内のロードマップ策定に検討内容を反映。官民協調で空飛ぶクルマの実現を目指す。  初会合では、空陸両用の空飛ぶクルマの開発を進める若手技術者の団体、カーティベーターや、産業用ドローン(小型無人機)メーカーのプロドローン、一人乗り航空機の開発などを行うテトラ・アビエーション、電池とガスタービン発電機を組み合わせたハイブリッド航空機の商業飛行を目指すTemma、日本初のドローンスタートアップ特化型ファンドのドローンファンドのほか、日本電気、空飛ぶタクシーの早期実用化を目指す米ウーバーテクノロジーなどが、空飛ぶクルマの将来像をそれぞれ発表した。  ドローンファンドの千葉功太郎ゼネラルパートナーは、ドローンや空飛ぶクルマがもたらす近未来の社会を提示。人の移動のみならず、25年には宅配事業者による拠点(物流センター)間の中間物流が24時間全て、米セイバーウイング・エアクラフト・カンパニーが開発中の超大型カーゴドローン「Draco」で運用される――といった未来予想図を示した。  質疑応答では、実用化に向けた課題などについて意見交換を行った。千葉氏は空飛ぶクルマと融合性の高い利用ケースとして、タクシーや災害時の救急搬送とともに、「BtoB(企業間)での中間物流は(有人輸送からドローンへ)置き換えが可能」と見解を述べた。(田中信也) 【写真=ドローンや空飛ぶクルマがもたらす近未来の社会を提示するドローンファンドの千葉氏】





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