JA静岡経済連、食材宅配システム構築 生協と初の協業 会員ニーズに答える
行政
2018/08/27 0:00
静岡県経済農業協同組合連合会(JA静岡経済連、加藤敦啓理事長)は、会員が利用する食材の宅配システムの構築に乗り出す。生活協同組合パルシステム静岡(石田敦史理事長)が運営する食材宅配システムを活用し、サービスを充実させる。21日、パルシステム生活協同組合連合会(同理事長)を加えた3者の幹部が、JA静岡経済連本部で協業に関する協定を締結。JAと生協が本格的に協業するのは全国で初めて。(奥出和彦) JA静岡経済連はこれまで、県西部地区を中心に食材宅配システム「ふれあい便」を運営。傘下の協組に加入する900件の会員に冷凍食品を中心とした300種類程度の食材を販売していた。しかし、品目の少なさやカタログの更新スパンが長いことなど、高齢化に伴う買い物支援といった会員へのニーズに十分に応えられるサービス内容ではなく、事業の再構築の必要性に迫られていた。 一方、パルシステム静岡は、2007年に県東部地区から事業を開始。現在は中部地区までエリアを拡大し、2万人の会員に食材や生活雑貨、住居関連、共済・保険商品を販売している。富士市内の配送センターを拠点に、個人宅や団体に小型のトラックで商品を運ぶ宅配システムを確立し、顧客のニーズに合った商品供給に努めてきた。 今回、食材の宅配システムを再構築したいJA静岡側と、県西部地区に会員を拡大したいパルシステム静岡側との思惑が一致。JA静岡が「ふれあい便」に代わる新たなサービスとして、品目や品質が充実したパルシステム静岡の食材宅配システムを提供する。手始めに、ふれあい便の顧客である900件の会員にサービスを紹介していく。利用者はパルシステム静岡の会員として加入することになる。 パルシステム静岡はこうした動きに合わせて、袋井市内に配送センターの設置を計画。富士市に次ぐ2件目の拠点として、西部地区開拓の足掛かりにする。 協定の調印式で、加藤理事長は「食の安全へのこだわりや、消費者・生産者を大切にする姿勢が同じ。商品の魅力と豊富さを静岡の会員に紹介していきたい」と意気込みを語った。 石井理事長も「単なる農産物の取引を超えて、協同組合同士の連携を深める協定を結べたことをうれしく思う」と述べた。 【写真=協定書を手に記念撮影に納まる(右から)パルシステム静岡の石田理事長、パルシステム連合会の吉中由紀副理事長、加藤理事長】