厚労省、時間外労働の上限規制 関係政令を来月にも公布 「運転業務」現行基準踏襲 兼業かを現場で判断
行政
2018/08/23 0:00
時間外労働の罰則付き上限規制の2019年度からの大企業への一般則での先行適用に向け、働き方改革関連各法の関係政令が9月上旬にも公布される。政令案では5年後の24年度から特例適用される自動車運転業務について、現行の改善基準告示の内容を踏襲し「4輪以上の自動車を運転」と規定。併せて、兼業か否かを現場レベルで判断できるよう、厚生労働省は政令とは別に、周知する方策を検討する方針だ。(田中信也) 厚労省は、働き方改革関連法のうち時間外労働の上限規制の適用に向け、厚労相の諮問機関である労働政策審議会の労働条件分科会(荒木尚志部会長、東京大学大学院教授)での検討を経て、労働基準法や労働安全衛生法などの関係省令や、時間外・休日労働に関する労使協定(三六〈サブロク〉協定)の指針策定に関する関係政令案を策定し、7月23日~8月21日に意見を公募した。対象企業への周知徹底を図るため、9月上旬に公布する。 労基法などの省令では、関係労使による協定の有効期間や、限度時間を超える労働者の健康・福祉を確保するための措置、「1カ月100時間未満」「2~6カ月間の月平均80時間未満」とする上限規定の要件、現行の労働時間の延長の限度などに関する基準(限度基準告示)で定めている条件や手続き、割増賃金率などを規定する。 また、最初の適用から5年間猶予される業務として「建設」「自動車運転」を明記した上で、年960時間の特例が適用される自動車運転の定義を「4輪以上の自動車の運転業務」と明記している。 ただ、自動車運転業務の対象範囲については、特にトラックドライバー側の一層の明確化を求める声が強い。通常国会の衆参厚労委員会での働き方改革法案の審議では、野党の委員が「管理や運行管理業務をした上でハンドルを握るケースも多く、自動車運転業務に『主に』従事する者の定義について明確にする」よう指摘。労働条件分科会でも、世永正伸委員(運輸労連副委員長)が「『主たる』の解釈を明確化すべき」として、営業や管理業務、更には集配を主とする宅配業務などとの兼務に関する取り扱いを省令に盛り込むよう、再三にわたり要望していた。 更なる業務の明確化は、省令では実現できなかったものの、厚労省も「業務の実態をよくみて、事例ごとに範囲か否かの妥当性を説明できるようにしたい」(労働基準局労働条件政策課)と理解を示しており、「現場での判断が可能な周知のツール」について、別途検討する方針だ。 【写真=自動車運転業務の定義について、明確化を求める声が強い(イメージ写真)】