厚労省/労政審労働条件分科会、三六協定届 様式案公表 時間外労働 「法定内」チェック欄作成
行政
2018/08/13 0:00
厚生労働省は9日、労働政策審議会の労働条件分科会(荒木尚志分科会長、東京大学大学院教授)で、三六(サブロク)協定届の新様式案を明らかにした。残業などの時間外労働が「1カ月100時間未満」「2~6カ月で月平均80時間未満」に抑まっているかのチェック欄を作成。法定限度を超える労働時間と、所定労働時間を超える労働時間(任意)を記載する項目を個別に設ける。トラックドライバーなど三六協定の適用除外業種の様式についても、近く公表する見通しだ。また、留意すべき項目の指針案も公表。健康確保措置として医師による面接指導などを盛り込んだ。一方、適用除外業種については措置の一部を適用しない、とした。(辻本亮平) 三六協定届の様式案は、特別条項に基づいて延長する場合のものも個別に作成。特別条項版では、限度時間を超えて働かせることができる回数の記入を求めるとともに、その上限を「6回以内」と明記した。また、延長する時間については、休日労働分も合算して記入することとした。 同分科会では、三六協定の締結で留意すべき項目を示した指針案も公表。労働時間の延長限度を超える場合は、その状況が常態化しないよう「労使が留意しなければならない」と指摘した。また、使用者の責務として、三六協定の範囲内であっても労働契約法に基づいて安全に配慮する義務があることや、長時間労働による脳血管疾患・虚血性心疾患を発症させないよう留意しなければならないことを示した。 三六協定届について、輪島忍委員(経団連労働法制本部長)は「電子申請に対応して欲しい。ウェブ上の様式に必要な事項を記入し、記入が足りない場合はエラーが出るようにするなど、実効性を高めることができる」と要望。一方、桜田あすか委員(サービス・ツーリズム産業労働組合連合会副事務局長)からは「チェック欄が形骸化しないよう周知が必要。守らないと労働基準法に違反することを、もっと分かりやすくした方がいい」といった声が上がった。 指針案の健康を確保するための措置では、①一定時間以上働いた労働者に、医師による面接指導を実施②夜間勤務(午後10時から午前5時)の回数を一定内に抑制③一定以上の休息時間を確保④勤務状況と健康状態に応じて代休や特別休暇を付与――するよう求めた。 ただし、三六協定の適用除外となる業種については、健康確保措置の一部を適用しないこととした。その上で、労働時間を1カ月当たり45時間以上延長する場合は、三六協定が適用される業種と同様、健康確保措置に努めるよう促した。 また、年次有給休暇を基準日(入社から半年後)より前に取得させた場合の年休時季指定義務の特例について、条文案を公表。基準日より前に10日分以上の年休を与えた場合、その日から1年以内に5日分の年休を消化させなければならないこととした。加えて、特例の履行期間が過ぎた後は、前倒しで年休を取得させた日の1年後を基準日とすることも示した。 このほか、自動車運転業務の対象範囲を「4輪以上の自動車の運転を主たる業務とする」としていることについて、世永正伸委員(運輸労連副委員長)は「『主たる』が何を指すのか、具体的にしなければいけない」と改めて強調。午前中に配車を担当した従業員が午後からトラックに乗務する場合など、現行では対象範囲が判断できない事例を挙げた。 【写真=残業などの時間外労働が「1カ月100時間未満」「2~6カ月で月平均80時間未満」に収まっているかのチェック欄を設ける】