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ヤマト/4~6月営業損益、単価上昇で好調 赤字一転95億円の黒字 通期売上高、最高見込む

物流企業

2018/08/06 0:00

 ヤマトホールディングスが取り組んできた大口顧客との価格交渉などプライシングの適正化の効果が、2018年4~6月期連結決算に鮮明に表れた。大口顧客の単価は前年同期比で27.0%と大幅な増加となり、好調な滑り出しとなった。(高橋朋宏)  ヤマトHDが7月31日に発表した18年4~6月期の連結決算は、ヤマトホームコンビニエンス(YHC、和田誠社長、東京都中央区)で明らかになった法人向け引越代金の過大請求で、顧客に返金する3億円や宅急便の現場体制強化のための人件費など営業費用の増加分56億円などがあっても、営業損益は95億7800万円の黒字(前年同期は100億円の赤字)となった。  経常損益は94億2900万円の黒字(95億8200万円の赤字)、最終損益は40億9600万円の黒字(79億3700万円の赤字)と大きく伸長。売上高も3806億9千万円(前年同期比7.1%増)と伸びた。  利益が改善した大きな要因は単価の上昇だ。宅急便の取扱量は、現場の業務体制を考慮して制限し、前年同期比で7.2%減らした。一方、単価は上がり、個人・小口法人で12.6%、大口法人では27.0%もアップ。平均では19.3%増えた。クロネコDM便は取扱量が11.6%減で、単価は3.6%増加した。  今後も堅実な伸長が見込まれることから業績予想を上方修正した。19年4~9月期は、営業利益を前回予想の80億円から2倍近い150億円、純利益は50億円積み増して90億円とした。  通期では営業利益は30億円積み増し、610億円(前期比70.9%増)、経常利益も30億円上乗せして610億円(69.0%増)とした。売上高は150億円積み増して過去最高の1兆6150億円(5.0%増)とした。純利益は360億円(97.5%増)で据え置いた。  通期予想には、法人向け引越サービスで過大請求した過去5年間の返金額や法人向け引っ越しの新規受注中止の影響として、売上高で95億円、営業利益で60億円の損失を織り込んでいる。  ヤマトグループはこれまで、18年度以降に成長できる基盤づくりを主眼に、大手通信販売事業者など1千社に上る大口顧客との運賃交渉などと併せ、許容能力に見合った現場体制の整備を推進。また、残業代未払いなどを受けて働き方改革を経営の前面に押し出してきた。  17年10月には、働き方改革の原資などとするため、27年ぶりとなる宅急便の基本運賃の値上げに踏み切った。値上げは利用者から比較的、好意的に受け入れられたとみられる。これらの取り組みが奏功し、17年度下期から業績は改善に向かっていた。  また、高い割合で発生する再配達など厳しい労働現場に社会的な注目が集まり、「ヤマトショック」「宅配クライシス」などと呼ばれ、物流業界全体に顧客との運賃交渉を積極的に進める空気を醸成することにも一役買っている。 【写真=宅急便の取扱量は、現場の業務体制を考慮して制限】





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