橋浦精麦倉庫、県道10号沿いへ倉庫移転 地盤かさ上げ高所に 震災の教訓生かし
物流企業
2018/07/23 0:00
【宮城】橋浦精麦倉庫(橋浦寛社長、宮城県名取市)の新倉庫が5日に完成した。東日本大震災復興整備計画の区画整理に伴う施設の移転事業で、大型低温倉庫と常温倉庫、本社事務棟を建設し、一部の倉庫で営業を開始。震災の教訓を生かし、地盤をかさ上げして主要な電気系の設備を高所に設置した。そのほかにも、随所に災害対策を講じた施設となっている。(黒田秀男) 区画整理事業に伴い、旧施設より南方200メートルの代替地(同市)に移転。敷地面積が1万5千平方メートルで、復興整備が進む宮城県道10号塩釜亘理線(浜街道)に面している。 震災の教訓を生かし、地盤を1.5メートルかさ上げしてスロープを設け、キュービクル(受変電設備)や冷温・空調設備を高所に設置した。また、各建物の東(海)側にはコンクリート壁を設置し、扉は全て外開きの鋼鉄製にするなど、随所に災害対策を講じている。 穀物を保管する低温倉庫は、鉄骨造り平屋建てで、床面積が5160平方メートル。倉庫は中央部に荷捌きスペースを設け、左右に1~3号倉庫を配置し、それぞれに天井クレーン(吊り荷重2.8トン)を設置。コメ保管用に木製の荷摺木や最新の冷温・空調設備を整えた。 荷捌きスペースは、天井が高さ14.2メートル、横幅は大型車2台が同時に通ることのできる広さとなっている。全天候型で風雨をしのぐことができ、品質を保持した積み下ろしができるほか、スタッフの作業環境の向上にもつながっている。 別棟の常温倉庫は鉄骨造り平屋建てで、床面積が368平方メートル。パレットなど資材を保管するが、庫腹量が不足の時は、低温倉庫に転用できる。 また、本社が移転する事務棟は2階建てで、延べ床面積が309平方メートル。津波などによる浸水対策として、オフィスを2階に配置した。 同社は穀物保管倉庫の老舗として、長年培ったノウハウを生かし操業してきた。しかし、2011年の東日本大震災で、2メートルの津波により、倉庫は被災。その後、グループ補助金などを活用して復旧・復興に努め、1年ほどで営業を再開したが、復興整備計画のため移転することとなった。 橋浦社長は「2度も建て直すこととなった。震災を教訓に危機管理に配慮した設備にした。今後も、コメなどの穀物倉庫として顧客ニーズに応えたい」としている。 【写真=低温倉庫にはコンクリートの防潮壁とスロープを設け】