労災発生状況17年、陸運業 死亡38%増 荷役中の労災増加
行政
2018/07/19 0:00
厚生労働省がまとめた2017年の労働災害発生状況(確定値)によると、陸上貨物運送事業の死亡災害は前の年比38.4%増と大きく増えた。交通事故による労災は同様の水準で推移したものの、フォークリフトを使った作業など荷役中の労災が増加。陸運の休業4日以上の死傷災害も5.2%増え、伸び率は死亡災害とともに全産業でトップとなった。11日の労働政策審議会安全衛生分科会(土橋律分科会長、東京大学大学院教授)で報告した。(辻本亮平) 労災の発生状況では、全産業平均では死亡災害が5.4%、休業4日以上の死傷災害は2.2%、それぞれ伸長。死亡災害を型別にみると、「墜落・転落」が全体の26%と最も多く、「交通事故(道路)」21%、「挟まれ・巻き込まれ」は14%と続いている。 長期的には死傷者数(休業4日以上)、死亡者数ともに減少傾向にあるが、近年は下げ止まりしている。特に死傷者数は、陸運や第三次産業で増えた影響もあり、2年連続の増加となった。 同省は第12次労働災害防止計画で、17年までに労災による死亡者数と死傷者数を、それぞれ12年比15%以上減少させる目標を掲げていた。しかし、17年の死亡者数は12年比10.5%減、死傷者数が0.7%増となり、いずれも未達。社会福祉施設や飲食店で、死傷災害が大きく伸びた。 死傷災害を業種別にみると、陸運は6.3%増加。計画では12年比10%減を目標とし、17年は死傷者を1万2451人まで減らしたい考えだったが、実際にはこれを2千人以上上回る1万4706人となった。千人当たりの死傷率は8.40で、前の年から0.23ポイント上昇している。 また、同日の分科会では、労働安全衛生規則の一部改正案も公表。従業員50人以上の事業所に義務付けられているストレスチェックの実施者に、必要な研修を受けることを要件とした上で歯科医師と公認心理師を加え、月内にも施行する。 【写真=労働安全衛生規則の一部改正案も公表】