福島運輸、甲府に3温度帯センター 「積み替え地」役割担う
物流企業
2018/07/16 0:00
【山梨】福島運輸(福島文雄社長、山梨県笛吹市)は来秋の完成を目指し、本社敷地に隣接する甲府市内に冷凍・冷蔵・常温の各温度帯物流センターを建設する。クロスドックセンター(仮称)として、首都圏と甲信越地区などからの積み替え地の役割を果たす共同配送センターで、旗艦拠点と位置づけている。(谷本博) 本社近くにある社員用の駐車場がリニアモーターカーの通過地に近いことから、代替地を探していたところ、本社から反対側の隣接地の甲府市内の用地に着目。甲府市や数人の地主との交渉の結果、約3万3千平方メートルの敷地を確保して購入。 用地のうち、第1期工事として今回整備するのが3分の1弱の1万平方メートル。2019年1月に建物の工事を着工、9月までの完成を見込む。センターは、冷凍・冷蔵センターが4300平方メートル、常温センターが2800平方メートルの規模で、いずれも平屋建て。冷凍庫はマイナス20度と同30度の2温度帯を設定する。 購入した用地は地盤が弱く、地震などの災害発生時には液状化現象が起きる可能性が大きいことから、くい打ちを中心に18年5月から造成作業に入っている。ほぼ半年間の地盤整備を行うことで、BCP(事業継続計画)への対策にもつなげている。 両センターとも屋根には太陽光パネルを整備。2棟合わせて4千枚になるが、売電事業は行わず、全て冷凍機を中心に自家発電に利用する。太陽光発電事業費用1億2千万円を含む第1期工事の投資額は15億円を見込んでいる。 第2期では、今回の用地の隣接地の農業振興地の購入を計画。1万6千平方メートルの敷地があり、需要を見ながらセンターの建設を構想している。本社センターに合わせ、近い将来は同地区は冷蔵・冷凍倉庫を中心とした一大物流基地として生まれ変わりそうだ。 同社は笛吹市内を中心として山梨県内に拠点を構えるが、本社のある境川営業所は中央自動車道を走行中にも目立つブルーのシンボルカラーが特長。更に、同自動車道・甲府南インターチェンジ(IC)に加え、17年3月に供用開始したばかりの笛吹八代スマートICからともに車で5分程度の好立地にある。 今回の物流基地建設も、こうした地の利を生かした戦略の一環。山梨県の県庁所在地の甲府市内で、しかも高速道路から至便の場所に位置することを全国に発信することで、県内に入る貨物、県内から出る貨物の積み替え地として、活用してもらおうという考えだ。 福島社長は「今回のセンターも2棟ともブルーに統一して、誰の目にも分かりやすくする。首都圏の同業者などが県内に配送する貨物は、ここで下ろしてもらえば、当社が配達する。帰りの荷物も斡旋することで、時間の短縮になるだけでなく、運賃収入も減らない仕組みを構築する」と強調する。 「今後の労働力不足時代到来に対応して、特に冷凍庫ではAI(人工知能)を活用した自動化やロボット化など最新鋭の設備を今回のセンターに導入していく」 【写真=福島運輸の冷凍・冷蔵トラックは目を引くブルーカラー】