豊田通商など/後続無人トラック隊列走行、急制動をスムーズに 報道むけ実験公開
産業
2018/07/05 0:00
豊田通商などは6月29日、後続車無人隊列システムによるトラック3台での隊列走行の実証実験を報道陣に公開した。産業技術総合研究所(中鉢良治理事長)のつくばセンター(茨城県つくば市)のテストコースを周回し、急制動(ブレーキ)や車線変更などのデモが行われたが、各動作ともスムーズだった。 後続車無人のトラック隊列走行は、2022年度の商業走行開始に向け、経済産業、国土交通の両省から事業を受託した豊田通商が研究開発を推進している。1、2月に公道で後続車有人での走行実験を新東名高速道路と北関東自動車道で実施。また、19年1月には、公道で後続車無人での走行実験を行う予定だ。 今回の報道公開は、後続車無人での走行実験に向けた技術開発と、評価の進ちょく状況を披露するのが目的。延長3.2キロのテストコース(本線)を周回するとともに、スタート地点から本線への合流、本線からゴール地点への分流も自動で走行。隊列の車間距離を10メートルとし、本線上は時速70キロで運行した。 実験の公開に当たり、経産省製造産業局自動車課の垣見直彦・ITS・自動走行推進室長は「日本の物流の業態改善、ドライバー不足の解消、安全性向上の観点から政府を挙げて隊列走行の技術開発を推進しており、来年1月の後続車無人システムの公道実験に向けた開発の成果を公表する」と強調。先進モビリティ(東京都目黒区)の青木啓二社長による技術説明の後、デモ走行が行われた。 先頭車ではドライバーがマニュアル運転を行い、車車間通信とミリ波レーダー(車間距離センサー)で構成されるCACC(協調型車間距離維持支援システム)により、隊列を組む2台の後続車が先頭車に追従するように速度維持、加減速、操舵(そうだ)を自動的に制御。万が一に備え、後続車にはドライバーが乗ったが、ハンドルやブレーキなどの操作は一切行わなかった。 先頭車を追尾するセンサーとして、後続車にはGPS(全地球測位システム)とライダー(光検出・測距)の2種類を搭載。今回の実験では、通信感度の低下する陸橋付近でGPSからライダーへ、通過後にはライダーからGPSへ、それぞれ切り替えが行われた。 また、急制動のデモも行われ、先頭車が時速70キロで走行している状態から急ブレーキを掛けたが、後続車もこれに追随し、車間距離はほとんど縮まらなかった。(田中信也) 【写真=時速70キロ、車間距離10メートルでテストコースを周回】