神奈川県/物流担い手育成事業18年度、参加者企業募集 来月から 免許費用 立て替え払い不要に
物流企業
2018/06/28 0:00
神奈川県は7月から、採用時の自動車運転免許取得費用と研修期間中の賃金を県が負担する「物流業界における新たな担い手育成事業」の参加企業を本格的に募集する。トラックドライバー不足対策として2017年度から始めた事業で、2年度目となる18年度は、免許費用の立て替え払いを無くすとともに、対象事業者を拡大。ドライバー50人の育成を目指す。 人手不足が深刻な介護、物流、IT(情報技術)の各分野での採用支援について、厚生労働省が都道府県に委託して実施する「地域創生人材育成事業」の一つ。運営は、人材サービスのシグマスタッフ(鈴木由生社長、東京都品川区)が手掛ける。 同事業では、求職者がドライバーとして運送会社に就職した場合、免許取得訓練と現場対応力アップ研修を実施。免許取得訓練では、準中型、中型、大型、けん引免許のうち、必要な免許を取得することができる。 現場対応力アップ研修には必須項目と選択項目があり、社会人・ドライバーとしての基礎研修、パソコン講習、普通救命講習、初任適性診断が必須。選択項目は、フォークリフト運転技能講習、玉掛け技能講習、運行管理者基礎講習、エコドライブ講習から任意で選べる。免許取得・研修に掛かる費用は全て無料となり、研修期間中の賃金(時給千円)と交通費も、県が全額負担する。 17年度は、雇用先事業者がいったん免許取得費用を立て替え、訓練終了後、一定期間定着したことを確認した段階で県が支払っていた。18年度は、教習所への申し込みをシグマスタッフが行うため、雇用先事業者は立て替える必要が無い。 対象事業者は、求職者をドライバーとして正規雇用する意向のある県内の中小運送会社で、17年度はGマーク(安全性優良事業所認定)の取得が条件だったが、18年度は「取得予定」にも対象を拡大する。本社が県外でも、営業所が県内にあれば応募できる。1社での申し込み人数に上限は無い。 7月から県内4カ所で運送事業者向け説明会を開き、参加企業を募集する。応募するには、指定の申込書への記入と、ハローワークへ求人票を出すことが必要になる。神奈川県トラック協会(吉田修一会長)の7月の広報誌にチラシを同封するほか、県の広報誌にも広告を載せる。8月にも訓練を開始し、年度内に50人の運送会社への就職を目指す。目標の50人に達した場合は、募集を打ち切る場合がある。 自治体によるトラックドライバー確保対策では、群馬県が16年度から3カ年の人材確保事業を開始。大型免許とフォークリフトの免許取得費用を補助している。神奈川県は、神ト協からの要望を受けて17年6月に制度を創設。17年度は21人が運送会社に就職している。(吉田英行) 【写真=トラックドライバー不足対策として実施(神奈川県庁)】