JR貨物/真貝新社長、鉄道部門の収益基盤強化 利用促進むけ 運送事業者と連携
物流企業
2018/06/25 0:00
日本貨物鉄道(JR貨物)の社長に21日付で就任した真貝康一氏(63)は、同日の会見で、上場に向けて鉄道事業部門の更なる収益基盤強化に取り組む方針を示した。また、「利用運送事業者と協働で営業をするなど、より一層、鉄道を利用してもらえるよう取り組む」と意気込みを語った。 真貝氏は「JR貨物グループの一層の発展のために誠心誠意尽力したい。昨今、社会では先端技術の進展、労働力不足など大きな変化が起きている。そんな中、安全という貨物鉄道への信頼の基盤(の維持・構築)を最優先して、鉄道を基軸とした総合物流企業グループを目指す。これまで経営改革を進めてきたが、変革のスピードを更に上げ、具体的な施策をやり抜く」と抱負を述べた。 会長に就任した田村修二前社長(69)も「まだまだ経営基盤はもろい。引続き、力を蓄えながら、鉄道を基軸とした総合物流企業グループとして具体化を図っていきたい」と強調。真貝氏を社長に選んだ理由について、「一言でいうなら、経営者の素質を備えている人。とても広い視野で物事をみている。真貝氏は東日本大震災をはさんで東北支社長を4年間務めた。その時に現場の皆さんと一緒に卓越した力量を発揮した」と紹介した。 真貝氏は日本興行銀行に入行し30年間務め、JR貨物に入ってからは12年目。国土交通省出身者や生え抜き以外で初めての民間出身社長となった。 自身の強みついて、「銀行時代の経験がバックボーンになっている。また、東日本大震災時には石油列車の運行などで多くの方々のお世話になった。JR貨物グループ、手伝ってくれた会社の現場の方々が鉄道を守り抜くため、日々活躍した。そこには『鉄道魂』という言葉があった。現場の力が企業を支えるのだと知った」と振り返った。更に、「その後、営業や開発事業を担当し、たくさんのお客さまと色々な話ができたことも、これから生きてくると思う」と述べた。 上場に向けては「経営改革に取り組む中で、コンプライアンス(法令順守)やリスク管理などの体制を整備している。ただ、上場の基準を満たすには、もう少し、これらを推進しなければならない。収益面では、鉄道事業部門は(2018年3月期まで)2期連続で営業黒字となっているが、不動産事業の収益も一部入っている。収益基盤強化に、もっと励む必要がある」と説明。 通運事業者との連携については「利用運送事業者と一緒に、より良い物流ネットワークをつくることが基本。まだまだ顧客のニーズを把握しきれておらず、利用運送事業者とともに協働で営業をするなど、鉄道をより一層利用してもらえるよう取り組みたい」と述べた。(高橋朋宏) 【写真=「鉄道を軸とした総合物流企業グループを目指す」と話す真貝社長(右)と田村会長】