国交省/有識者部会、北海道で共配・混載推進 人口減ふまえ検討会発足 物流ネットワーク確保
行政
2018/06/21 0:00
国土交通省は北海道の地域産業の発展に向け、物流機能の維持などを目標に、国や自治体、住民が一体となった取り組みを後押しする。「名寄市周辺」「十勝南」「釧路」の各エリアをモデルに、それぞれ共同輸送や貨客混載などを推進。人口減少が進む中、関係者一体の取り組みの成功事例をつくり、将来的な道内他エリアへの展開を見込む。(土屋太朗) 14日、国土審議会北海道開発分科会の計画推進部会(高橋賢友部会長、北海道経済連合会長)で、同省が北海道総合開発計画の進ちょくを説明した。 北海道では人口減少が全国平均に比べ、10年ほど先行している。加えて、最寄りの都市までの平均道路距離は全国の2倍以上で、広域分散型の社会となっており、将来的に産業の維持が難しい状況にある。 これを踏まえ、同省は地域一体となった検討会を立ち上げ、取り組みを進めることを決定。道北部の「名寄周辺」、道東部の「十勝南」「釧路」をモデルエリアに選定し、2017年11月~18年2月に、それぞれ議論を始めた。 特に、取り組みが進んでいるのは「名寄周辺」の検討会。今年4月に第1弾となる具体策をまとめ、目標の一つに「物流ネットワークの確保」を掲げた。 名寄市周辺では、入ってくる貨物は宅配便で、出ていくのは農産物。このため貨物量を確保できず、物流事業の採算性が低い。課題解決への具体策には、検討会の下に設けるワーキングチームで共同輸送や貨客混載を進めていくことを盛り込んだ。 共同輸送は、名寄市内に貨物を集約し、マッチングにより展開する。これまで荷主へのアンケートを実施しており、今後実証実験を行う計画。名寄市以北の宅配の維持も検討していく。 路線バスに貨物を積載する客貨混載は、16年度から3路線で実証実験を実施。本格運行につなげている。名寄市に隣接する士別市では、客貨混載のバスを活用した買い物支援サービスを試験的に導入している。 また、「十勝南」の検討会でも客貨混載を進めたいといった意見が出ており、今後、具体化する可能性がある。 14日の計画推進部会では、3エリアの検討会に参加する石田東生委員(日本大学特任教授)が「熱心に議論されている。メニューを掲げて終わりではなく、実践が重要。確実な実施へ、国の予算にも踏み込んで欲しい」と同省の支援の更なる充実化を求めた。 【写真=北海道総合開発計画の進ちょくを説明】