40フィート背高海コンの特車許可不要、 ETC2.0装着が条件 EIRなど証明書書類携行
行政
2018/06/07 0:00
国土交通省が2018年度内にも指定する重要物流道路制度で、40フィートハイキューブ(背高)国際海上コンテナトレーラの特殊車両通行許可を不要とするため、EIR(機器受渡証)など国際海コンであることを証明する書類の携行や、走行経路が確認できるようETC2.0(次世代型自動料金収受システム)の装着・登録を条件とする。5月28日に開催した社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会の物流小委員会(根本敏則小委員長、敬愛大学教授)の会合で、道路局が改正道路法で規定する重要物流道路制度の運用や検討体制などを明らかにした。(田中信也) 国際海コンの世界標準となりつつあり、かつ日本でも特車許可の特例車種(8車種)の中で許可件数のトップを占める40フィート背高コンテナについて走行が多く、道路構造上支障の無い区間を重要物流道路に指定。指定に当たっては、道路の新設・改築に必要な構造基準(道路構造令)と、特車許可が必要な車両の基準を引き上げる。 現行の道路構造令での「長さ12.0メートル(高速道路と自動車専用道路は長さ16.5メートル)、高さ3.8メートル」の基準を、重要物流道路では40フィート背高コンテナ車が特車許可無しで通行できる「長さ16.5メートル、高さ4.1メートル」に引き上げる。併せて、トンネルなどインフラ面を配慮し、建築限界についても現行の高さ4.5メートルから4.8メートルに変更する。 一方、重さに関しては基準を引き上げず、40フィート背高コンテナ車の最大総重量44トンに基づき、重要物流道路上の橋りょうについて特車許可審査と同様の方法で通行の可否を確認。支障が無ければ許可が不要な区間として指定する。 国際海コンはSOLAS条約(海上における人命の安全のための国際規約)に基づき、ISO(国際規格)によって規定される最大重量が担保されていることから、EIRなど国際海コンであることが確認できる書類をドライバーが携行することを求める。 また、走行経路を確認するため、ETC2.0の装着と登録を要件とする。指定されていない経路の通行や重量超過などの違反が確認された場合は、従来と同様に道路管理者が警告。違反が複数回確認されたりした場合は、特車許可申請を必要とするといった指導、罰則の強化を検討する。 重要物流道路は国交相が指定するが、社会・経済情勢の変化や、ICT(情報通信技術)・自動運転といった技術の進展を踏まえ、新たな広域道路整備基本計画などの検討と連携し、効果的な区間を選定する方針。 広域道路整備基本計画では、高規格幹線道路を補完する地域高規格道路を指定したが、1998年の計画見直しから20年が経過。重要物流道路の指定に合わせ、将来を見据えて見直すことで、平常時と災害時、物流と人流(旅客輸送)を踏まえた計画にリニューアルする。 検討に当たっては、都道府県単位での検討を経て、地方整備局単位で新広域道路交通のビジョン・計画を策定。国交省が全国的な視点で調整を行い、物流小委や基本政策部会に諮った上で、国交相が重要物流道路の指定や地域高規格道路の再編・指定などを行う。 道路局は「1年程度かけて検討を進めていく」としているが、広域道路基本整備計画の策定にはかなりの期間を要すると予想される。このため、18年度内の指定を目指す重要物流道路の指定に関する事項を優先的に進め、物流業界関係者の意見も踏まえ検討・調整する方針だ。 なお、物流小委では、全日本トラック協会(坂本克己会長)海上コンテナ部会の村岡弘明副部会長が「特車許可の審査に平均3カ月以上も要している。荷主を長期間待たせている状況で、運送依頼を断られる場合もある」と指摘。 40フィート背高車の特車許可が不要となることに期待感を示し、「安全を確保した上で運用していきたい」と述べた。 【写真=社整審の物流小委で道路局が概要を明らかに】