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宅配EC連絡会が発足 日本郵便やアスクルなど参加 再配達削減へ連携

行政

2018/06/04 0:00

 経済産業、国土交通、環境の各省は5月29日、再配達件数の増加、労働力不足など想定される物流危機を見据え、宅配、EC(電子商取引)の両事業者などで構成する連絡会を立ち上げた。まずは再配達削減に向け、両事業者の連携による実現可能な解決策について検討。10月ごろまでに取り組み事例を公表する。(田中信也)  近年のEC市場の拡大に伴い、宅配便の取り扱い個数が増加する一方で、再配達件数が増え、宅配便事業者のドライバー不足などの課題が顕在化。課題解決には個々の事業者・業界だけでなく、宅配、ECの両業界間での連携が不可欠となっている。  こうした中、両業界と行政が一層の連携を図るため、「宅配事業者とEC事業者の生産性向上連絡会」を発足した。委員は、宅配業界から日本郵便(横山邦男社長、東京都千代田)、ヤマト運輸(長尾裕社長、中央区)、佐川急便(荒木秀夫社長、京都市南区)、丸和運輸機関、EC事業者からはアスクル、アマゾンジャパン(ジャスパー・チャン社長、東京都目黒区)、スタートトゥデイ、千趣会、ヤフー、楽天などが参加。オブザーバーとして日本通信販売協会(阿部嘉文会長)が加わる。  事務局は、経産省の商務サービスグループ物流企画室、資源エネルギー庁の新エネルギー省エネルギー課、国交省の総合政策局物流政策課と自動車局貨物課、環境省の地球環境局地球温暖化対策課が務める。  初会合では、国交省の重田雅史物流審議官が「EC、宅配事業でイノベーション(技術革新)を進める上で、再配達増加や労働力不足、地球環境対策が課題となっている。これらのソリューションは、各企業の経営戦略・方針によるところもあるが、個別の事業者・業界を越えて共通の認識・状況を共有することが重要。意見を交換し、ソリューションを検討する場として定期的に開催していきたい」と趣旨を述べた。  一方、事務局は「EC事業が拡大傾向にある一方、労働力不足が進展し、個々の事業者・業界での効率化には限界がある」と指摘。宅配、ECの両事業者がIT(情報技術)を活用して連携し、消費者の利便性向上を図りつつ、サプライチェーン(供給網)全体の生産性向上に努めるため、「両者が連携した先進的な取り組みをまとめ、普及を図っていく」必要性を強調した。  まずは再配達削減に向け、両者の連携で実現可能な解決策について①取り組みやすさや障害、効果の面での評価②実現に向けた手法(データの連携、商習慣の変更など)③コスト・プロフィットシェア(費用と利益の分配)の手法――の視点を踏まえ、具体的な議論を進める。今会合では、全ての委員が自社の取り組みや課題について報告した。  会合は今後2、3回程度開催し、10月ごろ取り組み事例を取りまとめ、公表する予定。その後も定期的に開き、両事業の生産性向上につながる新たな課題を抽出し<検討していく方針だ。 【写真=定期的に開き、両事業の生産性向上につながる課題を検討】





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