鹿島バルクターミナル、貯炭場あす稼働 火力発電所むけ 年間24万トン扱う
産業
2018/05/31 0:00
丸全昭和運輸グループの鹿島バルクターミナル(野口三郎社長、茨城県神栖市)は6月から、鹿島港外港地区(鹿嶋市)の貯炭場を稼働させる。火力発電所で使用する石炭を貯蔵。最大で11万トン貯炭でき、年間で24万トンを取り扱う予定だ。5月22日、竣工式・披露宴を開いた。(井内亨) 敷地面積3万3700平方メートルで、貯蔵場は5.5万トン貯炭できるスペース2カ所(面積1万9400平方メートル)を整備。雨水を活用する水処理設備やトラックの洗車ピットなどを設け、環境面に最大限配慮した。 特に、粉塵(ふんじん)によって周辺地域に影響が出ないよう設計。貯炭スペースの周りに高さ2メートルの擁壁を整え、運搬道路を挟んだ周辺には高さ10メートルの防塵フェンスを設けた。フェンス上には、風向きや風速を図る機器を設置。更に、高さ20メートル、飛距離60メートルの散水設備を10カ所備え、乾燥による粉塵の飛散防止と、石炭の温度上昇を防ぐ。 このほか、事務所棟や少量危険物倉庫、荷役車両車庫、トラックスケール、LED(発光ダイオード)照明、監視カメラなどを整備した。 貯炭場で保管される石炭は、オーストラリアから輸入し、神栖市に新設される火力発電所で使用。石炭とともに木質ペレットを使用したバイオマス混焼によって発電する。鹿島バルクターミナルでは、鹿島港外港公共ふ頭に着船した後の荷役、横持ち輸送、保管、発電所への納入までを担う。一部作業は丸全昭和運輸が担当。また、同社は木質ペレットを保管する指定可燃物倉庫「鹿島平井倉庫」(鹿嶋市)を8月に稼働させる予定だ。 披露宴で、野口社長は「貯炭場は、近代的で環境に優しい施設とした。6月中旬に4万5千トンを積んだ第1船が着く予定。また、物流事業者は今まで荷主の下で作業してきた。それも大事だが、自ら施設を持ち、荷主と同じ立場でやらなければならない時代だ」と話した。 【写真=最大で11万トンの石炭を貯蔵できる貯炭場】