首都高/日本橋周辺地下化、竹橋-江戸橋JCT1.8キロ 大型車通行確保へ対策
産業
2018/05/31 0:00
国土交通省と東京都、首都高速道路(宮田年耕社長、東京都千代田区)は22日、首都高都心環状線の日本橋周辺を地下化する整備ルートとして、竹橋ジャンクション(JCT)―江戸橋JCTの延長1.8キロを決定した。既存の首都高八重洲線のトンネルを活用するため、新設は1キロ(地下0.7キロ)程度。新設区間を抑えたため、八重洲線や東京高速道路(KK線)に利用転換を図っていく必要があるが、両線は大型車が通行できない。このため、今夏にも八重洲線の機能強化など大型車の通行確保に向けた対策の方向性を打ち出す。(田中信也) 周辺の都市開発と合わせた地下化に向け、国交省や東京都、首都高などで構成する日本橋地下化検討会(森昌文座長、国交省技監)が2017年11月に発足。日本橋川や地下鉄への影響を考慮しなければならず、送電・配電施設や上下水道、通信網など地下埋設物も輻輳(ふくそう)する中、ルート選定は「限られた空間を縫う」(国交省道路局)ように進められ、22日に開かれた第2回会合で具体的な整備ルートを示した。 竹橋JCTからJR線の高架まででは、大手町と常盤橋地区で既に五つの再開発プロジェクトが進んでいることから連携が不可能。このため、コスト縮減の観点も踏まえ、神田橋JCTまでは近接する既存の八重洲線トンネルを活用する。一方、神田橋JCT―江戸橋JCTは、日本橋地区の四つの再開発事業がいずれも計画段階にあり、連携して整備することが可能なことから、新規にトンネルを整備する。 関越自動車道、東北自動車道などに接続する4方向の放射路線が集中し、複雑な構造の江戸橋JCTは、更なる渋滞を避けるため都心環状線内回りのランプを撤去。このため、汐留JCTから神田橋JCTまでの交通は、八重洲線への転換を図っていく。 ただ、八重洲線と、同線の途中に挟まれるKK線は現状、大型車(総重量8トン以上のトラックなど)と危険物積載車両の通行が不可能なことから、新ルートに含まれる八重洲線トンネルを含め、物流ネットワーク確保などの観点から大型車への対応が必要になる。 このため、今夏中に開催する第3回会合では、八重洲線の機能強化を軸に大型車交通のネットワーク機能の確保対策を検討し、方向性を打ち出す。併せて、概算事業費や事業スキームなどを含む整備計画を取りまとめる方針。石井啓一国交相は同日の定例会見で「(計画策定後)国や東京都、首都高、中央区が連携し、早急に検討を進める」と意欲を示した。 計画策定後、都市計画変更などの手続きを進めていくが、着工は20年の東京オリンピック・パラリンピック以降になる見通しだ。 【写真=日本橋地区の再開発事業と連携し地下区間を整備】