北関東運輸、治療中も給与6割負担 人材定着むけ健康経営
物流企業
2018/05/28 0:00
【栃木】北関東運輸(石塚譲司社長、栃木県大田原市)は2017年8月に、健康経営優良法人2017(中小規模法人部門)に追加認定され、今年も更新した。認証取得で目指したのは、労働環境の改善による人材定着。糖尿病を患ったドライバーも乗務停止にして治療に専念させ、その間、6割の給与を出すなど社内体制の整備を着々と進めている。 石塚社長(43)は「Gマーク(安全性優良事業所認定)は他社との差別化ツールとしては不備がある。コンプライアンス(法令順守)の指標であり、労働環境改善への取り組みや社員の健康増進への目安には不足している。健康経営優良法人で他社との違いを明確にしたい」と強調する。 健康経営優良法人は、心身ともに健康に働ける企業から選定し、従業員の定期健康診断の受診率100%、ストレスチェックの実施、過重労働の緩和に向けた取り組みなどを評価する。「長時間労働の抑制策として、年間休日を105日にし、有給休暇の取得奨励も始めた。時季変更権は行使しないようにしている。社会保険労務士からは『有休を与えた方が業績が伸びる』と言われた」と笑う。 現在、社員62人、保有台数は53台。主力貨物は県内農産物で、栃木県北部から首都圏への輸送を手掛ける。石塚氏は「昔、長距離主体で走っていたころは、眠い目をこすって耐えたドライバーの武勇伝を語り伝えていたが、そんなことをしていると若い人が入社しない。今目指しているのは、引退したドライバーが90歳でも元気でいられる会社。退社したドライバーがぼろ雑巾のように倒れる姿は見たくない」と話す。 「働き方改革の中では、『賃金を上げろ』『労働時間を短縮しろ』と相反する目標が出された。対応するため、走行距離を短くすることを考えている。極端な話、都内の市場に荷物を運んで、荷待ちをするだけで改善基準告示を守れなくなる。従業員を守ることを課題に、改革を進める」(佐々木健) 【写真=定期健康診断の受診率100%達成のため行う集団健診】