中山間で自動車運転サービス、早期実現へ長期実験 今年度 細かなニーズ対応 走行ルートや採算性
行政
2018/05/21 0:00
国土交通省は2018年度、道の駅などを拠点とする自動運転サービスの実現に向け、長期間の実証実験に乗り出す。これまで全国13カ所で、計1400人が参加して実証実験を実施。いずれの期間も最長で1週間程度だったため、今後は1カ月間を軸に行う。利用者の細かなニーズに対応した形で、実効性や改善点を検証。その上で、19年度以降の早期の事業化を目指す。(土屋太朗) 14日、中山間地域における道の駅などを拠点とした自動運転ビジネスモデル検討会(原田昇座長、東京大学大学院教授)を開き、実証実験の検証状況や、今後の進め方について説明した。 実証実験は、高齢化が進む中山間地域で、自動運転車を活用して物流・人流機能を確保できるかどうかを確認するもの。実現すれば、道の駅などを拠点に、自動運転車を宅配便や農産物の出荷に使ったり、生活の足として利用できたりするようになる。 17年度に実施したのは全国13カ所で、総走行距離は2200キロ。この結果、道路の勾配、線形などに左右されず走行できたことや、積雪状態でも走れたことが確認された。一方、道路脇に除雪した雪が走路を阻害したり、路上駐車車両を検知した時に停止するといった課題も見つかった。 こうした点を踏まえ、同省は自動運転車の走行路の明示や、積雪時を考慮した走行位置の設定、地域での協力体制の構築などの必要性を指摘した。 また、地域住民へのアンケートでは、移動手段としての利用や出荷・購入の機会の増加へ期待する声が多かった。このため、今年度は1カ月程度に期間を延ばして実証実験を行い、より利用者のニーズに応じた走行ルートや、配送を行うに当たっての事業の採算性などを検証。遅くとも20年までにビジネスモデルを確立する。 なお、検討会では、今夏にも中間とりまとめを策定する。 【写真=今夏にも中間取りまとめを策定】