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エゾシカ衝突事故、全道で04年以降最多 事業者が運行時間帯を変更も

産業

2018/05/17 0:00

 北海道内でエゾシカが関係する交通事故が増えている。北海道警によると2017年、エゾシカが関係する交通事故は前の年比494件増の2430件に上り、記録が残る04年以降、過去最多を記録。方面別では札幌方面が2年連続で最も多く、17年は前の年比247件増の914件発生。次いで釧路方面が783件だった。道内の運送事業者は、シカの多い場所や時間帯を社内で共有するなどして対策を進めている。(岡杏奈)  17年中、エゾシカが関係する死亡事故は無かったものの、衝突のはずみで車両が対向車線に飛び出し、対向車と衝突するなどの人身事故は6件。大型トラックの前を走っていた乗用車がシカを発見して減速したところ、大型トラックが追突した事故も起きている。国道での発生が最も多く、17年は58.4%が国道での事故となっている。  このような状況を受け、シカ避け笛を設置している運送事業者も多い。一定速度で走ると超音波が発生する仕組みで、トラックへの設置もしやすい。  丸日日諸産業(札幌市豊平区)の野村佳史社長(60)は「シカとの衝突事故が発生した場合、当社では1回当たり平均で30万~40万円程度の修理費用が掛かっている。シカの多い場所や時間帯を把握し、社内で情報共有し気を付けている。シカ避け笛を装着した車両もあるが、どの程度効果があるのかは不明だ」という。  このほか北海道開発局では毎年、各開発建設部からエゾシカ衝突防止マップを作成し、道の駅をはじめとする施設で配布して注意を呼び掛けるなど、衝突防止対策に力を入れている。  同開発局道路維持課によると、エゾシカが飛び越えられない高さ2メートル超の侵入防止柵の設置を13年から開始している。道路調査を進めるとともに、周辺住民と協議しながら設置を進めており、過去3年では、国道44号、272号、244号で各12キロ延長した。これらの地道な対策が奏功し、事故の発生件数は増加しているものの、運送事業者からはエゾシカとの衝突事故が減少しているとの声がある。  三新輸送(北海道恵庭市)の梶浦民夫社長(68)は「これまで随分とエゾシカとの衝突事故に悩まされてきたが、ここ最近は減少傾向にある。それでもまだ事故は無くなっておらず、当社では17年に2件立て続けに衝突事故を起こしてしまった。全車にシカ避け笛を装着したほか、運行時間帯を変えたり、シカの目撃情報を共有したりして対策を取っている。シカの出没頭数は、季節や時間帯によって違うので、野生動物と共生するためにも、状況に合わせてやっていくしかない」と話している。  エゾシカとの衝突はトラックだけではない。JR貨物によると、17年度のシカによる輸送障害件数は16年度と比べ、71件増の360件発生している。月別で最多は10月で51件。最も少ないのは、2月の19件だった。時間帯でみると、午前4時台が39件と最も多く、午後11時から翌日午前5時台に集中して事故が発生。目視でシカを発見した場合には運転士が汽笛を鳴らして衝突防止を図っている。  オスの場合、体長90~190センチメートル、体重50~130キログラムで、スピードが出ている状態の自動車と衝突した場合の衝撃は大きい。北海道内にはエゾシカが推定45万頭(17年度)生息しており、ピーク時(10年度)から23万頭減少しているものの、繁殖力が旺盛で、対応が追い付いていないのが現状だ。 【写真=エゾシカ侵入防止柵の設置が進められる】





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