イベコ、大型LNGトラックを発表 小型CNGバンも
産業
2018/05/14 0:00
イベコは8日、LNG(液化天然ガス)を燃料とする大型トラクタ「ストラリスNP」、CNG(圧縮天然ガス)車の小型商用バン「デイリー・ハイマティック・ナチュラル・パワー」、小型バス「デイリーミニバス・ナチュラル・パワー」を日本市場向けに発売した。日本国内ではアイ・ティー・エス ジャパン(橋本博文社長、千葉県船橋市)が販売窓口となる。同日、東京都で行ったプレスカンファレンスで、イベコのピエール・ラウッテ社長が説明した。 ストラリスNPのLNGタンクを2基搭載した仕様では、航続距離が1500キロ(メーカー公表値)という「足の長さ」を誇る。先月には、いすゞ自動車が環境優良車普及機構(LEVO、岩村敬会長)と共同で大型LNGトラックの実証実験を開始することを表明しており、航続距離に課題を残すCNG車に対し、大型LNG車の登場は、ディーゼル一辺倒だった長距離輸送に一石を投じることになりそうだ。 ストラリスNPは長距離輸送用に設計された車両総重量16~44トンの大型トラック。LNG仕様の場合、最大で1500キロの航続が可能で、搭載タンクはLNGとCNGを選択できる。排気量8.7リットルの直列6気筒エンジンは、ディーゼル車と同等の最大出力400馬力を発揮する。 12段階の自動変速機と油圧式リターダ(補助ブレーキ)、ACC(追従式クルーズコントロール)などを備える。同等のディーゼル車に比べ二酸化炭素(CO2)を15%削減できるほか家庭ごみなどから精製されるバイオメタンガスを使用した場合、最大95%も削減できるという。 デイリーハイマティックNPは、車両総重量3.5~7トンの小型商用バン。パネルバンや側窓を持つウインドー・バンなど三つのボディー形状をラインアップ。排気量3.0リットルのCNGエンジンから136馬力の最高出力を発生させる。8段変速の機械式自動変速機「ハイマティックトランスミッション」を搭載する。 2012年、世界保健機関(WHO)傘下の国際がん協会(IARC)がディーゼルエンジンの排出ガスを「ヒトに対する発がん性がある」と、ガソリンエンジンを「発がん性がある可能性がある」と、それぞれ位置付けた。こうした流れを受け、ヨーロッパ各国で脱ディーゼル・ガソリンが加速化。天然ガス自動車(NGV)がEU(欧州連合)全域を走行できるよう、幹線道路にLNG・CNGスタンドをそれぞれ400キロごと、150キロごとに整備する取り組みがスタートし、17年に整備が完了した。これにより、北欧諸国からスペイン、ポルトガルまでNGVで走行することが可能となっている。 一方、日本では6月に大阪、7月に東京でLNGスタンドが設置される予定で、インフラの整備がLNG車の普及のカギを握っている。(小瀬川厚) 【写真=ストラリスNPは1500キロの航続距離を持つ(10日、ジャパントックショー)】