北陸トラック運送、福井物流センター竣工 女性の働きやすさ重視 DPS導入 EC宅配に対応
物流企業
2018/05/03 0:00
北陸トラック運送(水島正芳社長、福井市)の福井物流センター(同市新開町)が1日に竣工、サードパーティー・ロジスティクス(3PL)事業のエリア拡大に対応するとともに、既存業務を移管・集約する。総費用は13億円で、最新機器の導入により効率化・省力化するとともに、トイレ個室を多数設置するなど、女性スタッフの働きやすさを重視している。(星野誠) 本社から2キロ離れたところにある同センターは、敷地面積1万5390平方メートル、延べ床面積5640平方メートルの鉄骨造り平屋建て。本社センターではこれまで、流通大手の北陸3県(福井、石川、富山)向け3PL事業を行っていたが、新たに京都府北部と滋賀県までカバーすることになったため、新センターを建設し、既存の仕事も移管・集約した。 取り扱う商品は、日用雑貨、化粧品、衣料品などの非食品だが、本社センターで行っていた業務と比べて物量は2倍になった。水島社長は「全く同じシステムと人員でやれば、1日8時間の仕事が16時間かかる計算になる。労働時間管理のため、8時間で終わらせることを前提に、先進機器を導入して効率化を図った」と説明する。 センター業務の中核となるのは、Eコマース(電子商取引)宅配に対応した最新鋭のデジタル・ピッキング・システム(DPS)。独立した2本のラインを持つため、片方がトラブルなどで止まっても、作業の続行が可能。1日平均1500~2千アイテムの取り扱いを想定している。 アイテムは出荷頻度で「高」「中」「低」と棚分けされ、顧客ごとのケースに入れる商品は、ランプが点灯して棚のどこにあるか教えてくれる。中頻度の棚は置き場が多く、点灯ランプをひと目で見つけるのは難しいため、同時に緑色のLED(発光ダイオード)照明が床を照らし、当該商品がある列を指し示す工夫もなされている。 女性パート従業員などのスタッフは、本社センターから異動する40人に加え、10人程度を新規に募集する。 3PL営業本部長の臼井信宏取締役は「女性は仕事が丁寧で集中力も高いので、ピッキング作業に向いている。DPSで効率化も実現し、働きやすい現場になった」と強調する。 大半を占める女性スタッフのため、労働環境も最大限に整えた。「トイレ個室が少ないと、休憩時間は大渋滞になる」(水島氏)ことから、女性用トイレは10人が同時に利用できるようにした。10の個室は全て暖房付き洗浄便座で、女性にはうれしい擬音装置も備えている。 また、大きな鏡の付いた洗面台を5台設置し、それぞれの間隔にゆとりを持たせ、化粧などをしやすくした。また、更衣室とロッカーは清潔感のある淡いピンク色で統一。食堂兼休憩室の一角には、広さ12畳の「小上がり」も作り、靴を脱いで寝転がることができるよう配慮した。 水島氏は「空調は細かい設定が可能で、スタッフの健康管理に役立てていく。女性労働力の有効活用を最優先に考えた物流センターで、施設内容には自信がある。今後は応募者などを見学に招待し、女性の目線で確かめてもらえたら」と力を込める。 【写真=3PL事業の新拠点となる】