物流ニッポン – 全国の物流情報が集まるポータルサイト

ヤマト運輸&DeNa、自動運転実験を公開 信号情報をLTEで取得 ロボネコ 具現化めざす

物流企業

2018/04/30 0:00

 ヤマト運輸(長尾裕社長、東京都中央区)とディー・エヌ・エー(DeNA)は24日、神奈川県藤沢市の公道で自動運転車による配送の実証実験を報道向けに公開した。2017年4月から1年間実施してきた、自動運転社会を見据えた次世代物流サービスプロジェクト「ロボネコヤマト」の一環。今後、これまで行ってきた実証実験の結果を検証し、プロジェクトの具現化を目指す。(高橋朋宏)  自動運転車の走行距離は6キロ。実験では、ヤマト運輸藤沢辻堂東センターで自動運転車両に荷物を預け入れ、ドライバーレス(助手席にスタッフが着座)で運転し、利用者役が辻堂海浜公園東駐車場で荷物を受け取った。  また、日之出橋交差点の信号情報を携帯電話網(LTE回線網)を用いて受信し、無事に交差点を通過することに成功。その後、商店2店舗で荷物を集荷し、最終地点に届けた。LTE回線網を使って信号情報を自動運転車両に送信する取り組みは国内で初めて。  ヤマト運輸とDeNAは両社の特性を生かし、より利便性が高く、自由な生活スタイルの実現や配達の担い手の多様化、省人化などを目指している。  藤沢市内の一部エリアでこの1年間実施した実験は、人工知能(AI)で配送ルートの最適化を行い、届く時間を10分刻みで指定できるオンデマンド配送サービス「ロボネコデリバリー」と、消費者がインターネットで地元商店から購入した商品を届ける「ロボネコストア」の二つ。  届け先は自宅でも公園でもエリア内であれば、どこでも選べるとともに、有人運転で、顧客自身が車両から荷物を取り出すサービス設計で運用してきた。  同日には1年間の実証実験の実績と利用者へのアンケート結果を公表。配送件数は1日最高50件、18年3月の平均は20件ほどだった。複数回利用したリピート率は47.3%。不在率は0.5%で、十数%とされる宅配便の再配達率を大きく下回った。  ロボネコデリバリーについてのアンケートでは、99.0%が「今後もロボネコデリバリーで受け取りたい」と回答。理由(複数回答)は「10分単位のピンポイントで好きな時間に受け取れる」が最多で98.4%。次いで、「好きな場所で受け取れる」55.6%、「最短40分後を指定して受け取れる」41.9%などだった。  ロボネコストアについても「待つストレスが無い」ことが最も高く評価され、両社は「オンデマンド性、無人オペレーションの受容性があることが確認された」としている。  DeNAの田中慎也・ロボットロジスティクスグループリーダーは「ヤマト運輸のセールスドライバー(SD)には運転技術、コミュニケーション能力、配送ルートを組む能力、荷物を持ち運ぶ体力が必要だが、(完全に自動運転化されていない)現時点のロボネコでは運転技術さえあれば、オペレーションできる。高齢者や女性も活躍でき、雇用の裾野を広げられることが証明できたのは大きな収獲だ」と説明した。 【写真=荷物を届ける最終地点に到着する自動運転車】





本紙ピックアップ

軽油引取税の暫定税率廃止、交付金継続へ展望開ける

 軽油引取税の旧暫定税率を2026年4月1日で廃止することで与野党6党が合意した。暫定税率分である1㍑当たり17円10銭の減税はトラック・バス事業者の経営安定化につながる。一方、暫定税率を原資とする運輸事業振興助成交付金…

啓和運輸、日本語学校を来春開校

 啓和運輸(川島満社長、埼玉県入間市)は2026年4月に啓和テラス日本語学校(同市)を開校する。ミャンマー、ネパール、ラオスなどから来日する外国人材を対象に、語学教育だけでなく、日本で働く力を育むことを目的とした独自カリ…

ヤマト運輸、ベトナム人年100人採用

 ヤマト運輸(阿波誠一社長、東京都中央区)は特定技能外国人制度を活用し、2027年以降、毎年、拠点間輸送を行うベトナム人大型トラックドライバー100人の採用を目指す。ベトナムで人材育成事業を展開するFPTグループと12日…

自民税調会長、振興助成法改正で対応

 自民党の小野寺五典税務調査会長は17日、軽油引取税の暫定税率の2026年4月1日の廃止に向け、「租税特別措置(租特)法の改正法案で対処したい」として、与党の税制改正議論を経て、通常国会に提出する方向性を示した。運輸事業…

オススメ記事

軽油引取税の暫定税率廃止、交付金継続へ展望開ける

 軽油引取税の旧暫定税率を2026年4月1日で廃止することで与野党6党が合意した。暫定税率分である1㍑当たり17円10銭の減税はトラック・バス事業者の経営安定化につながる。一方、暫定税率を原資とする運輸事業振興助成交付金…

啓和運輸、日本語学校を来春開校

 啓和運輸(川島満社長、埼玉県入間市)は2026年4月に啓和テラス日本語学校(同市)を開校する。ミャンマー、ネパール、ラオスなどから来日する外国人材を対象に、語学教育だけでなく、日本で働く力を育むことを目的とした独自カリ…

ヤマト運輸、ベトナム人年100人採用

 ヤマト運輸(阿波誠一社長、東京都中央区)は特定技能外国人制度を活用し、2027年以降、毎年、拠点間輸送を行うベトナム人大型トラックドライバー100人の採用を目指す。ベトナムで人材育成事業を展開するFPTグループと12日…

自民税調会長、振興助成法改正で対応

 自民党の小野寺五典税務調査会長は17日、軽油引取税の暫定税率の2026年4月1日の廃止に向け、「租税特別措置(租特)法の改正法案で対処したい」として、与党の税制改正議論を経て、通常国会に提出する方向性を示した。運輸事業…

Share via
Copy link
Powered by Social Snap