厚労省/過労防止大綱改定、トラ業者の取り組み明記 労働時間 客観的に記録 改善協に合わせ対策推進
行政
2018/04/30 0:00
厚生労働省は、今夏にもまとめる過労死防止対策に関する大綱の改定案に、トラック運送事業者の取り組みを盛り込む方針だ。事業者だけで長時間労働解消を図ることが難しい面もあることから、荷主や元請事業者との取引関係の在り方も含め、改善していく必要性を明記。国土交通省や有識者、事業者などで構成する取引環境・労働時間改善協議会の活動に沿って対策を進めるよう促す。(土屋太朗) 24日、過労死等防止対策推進協議会(岩村正彦会長、東京大学大学院教授)を開き、大綱の改定案の素案を提示した。現行の大綱は2015年7月に閣議決定。根拠となる過労死等防止対策推進法の施行から3年が経過したことから昨年、見直しに着手した。 素案では、業種別の現状や対策を追加する。このうちトラック運送業では、適正運賃の収受ができず、荷主都合による荷待ち時間などでドライバーの長時間労働につながっている実態を指摘。事業者側の努力で解決することは困難な面もあるため、荷主との取引関係の在り方を含め改善を図っていく必要性を示した。 その上で、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善中央協議会」の進ちょくに合わせ、取り組みを進めていく方針だ。 更に、事業者が労働者の労働時間を適正に把握する必要性も新たに明示。タイムカードやICカードなどの客観的な記録を基礎に始業・終業時間を確認し、記録するよう明記した。 このほか、終業から始業まで継続した休息期間を確保する「勤務間インターバル」についても、助成金や好事例の周知などを通じて導入促進を図っていきたい考え。 数値目標も設定し、労働時間が週60時間以上の雇用者の割合を、20年までに5%以下(16年は7.7%)にする。また、年次有給休暇の取得率は70%以上(49.4%)に引き上げる。ストレスチェックの結果を分析し、その結果を活用している事業所の割合は22年までに60%以上(37.1%)に高める。 【写真=大綱改定案は今夏にも取りまとめる】