製紙パレット機構、無料回収事業を強化 納品パレット再利用
産業
2018/04/26 0:00
製紙パレット機構(岩田憲明社長、東京都中央区)は、製紙パレットの「無料回収事業」を従来に増して強化していく。製紙工場で生産された紙・板紙の納品に用いる木製パレットを所有メーカーに返却し、木材資源の節約、物流費低減、産業廃棄物の削減に寄与。製紙メーカーが保有している資産の保全に傾注する。(沢田顕嗣) 同社の出資者には王子グループの物流統括会社である王子物流や日本製紙など7社が名を連ねる。回収業務を担う物流関連11社が北海道から九州まで全国6地区でデポを運営。株主以外の会社などからもパレットの回収業務を受託している。 製紙メーカーが費用を負担しているため、印刷会社や物流会社などの需要者はこのスキームを無償で利用できるのが大きな特徴だ。デポではメーカー・工場別にパレットの仕分けと選別を実施した上、所有者の拠点に戻すことでパレットの再利用を促進。要請に応じて、パレットの修理・修繕も手掛けている。 回収作業には1日当たり800台程度のトラックが投入されており、2018年3月期の回収実績は459万枚に上る。回収率は地区単位で多少の開きはあるものの、全国平均で6割に達しているという。ただ、出版物の流通構造が様変わりしていることから、今後は関東地区を中心に流通の実態に即したアプローチに努めていく。 岩田社長は「パレットは輸送や保管などの作業能率を向上させる物流機材。物流現場の中では最も高額な資材だが、残念ながら無償物と認識される傾向がある。所有者の大切な財産だということを啓発し、回収の実効性を上げていきたい」と話している。 【写真=パレットの再利用を促進(関東地区のデポ)】