LOMS、新聞販売店 宅配拠点に インフラ・人材を活用 年度内500店体制めざす
物流企業
2018/04/12 0:00
宅配ボックス設置や配達代行取り次ぎを手掛けるラストワンマイルソリューション(LOMS、近藤正幸社長、東京都中央区)は、新聞販売店のインフラと人材を活用した宅配に取り組んでおり、今後、この配達体制の整備を加速させる。2018年度末までに、全国の新聞販売店500店とのネットワーク構築を目指す。販売店スタッフが使うシステムの開発や、販売店以外の地域のインフラを活用することも視野に入れる。(吉田英行) LOMSは17年5月設立。ロジコンシェル(同区)を経営する近藤氏が社長を務め、ダイワコーポレーション(曽根和光社長、品川区)、新聞折り込みチラシ自動丁合機の製造・販売大手のプレッシオ(大谷貴志社長、港区)が出資している。 パナソニックの協力を得て、オープン型宅配ボックスの新聞販売店への設置を推進しており、今後5年以内に全国1500~2千カ所に設置する計画だ。 これに加え、新聞販売店網を活用し、消費者宅への宅配便の最終的な配達である「ラストワンマイル」を担うサービスを展開していく。 既に、大手宅配会社から宅配依頼を受けて一部の販売店で運用を始めており、インターネット通販商品などを中心に需要を見込む。 プレッシオは全国の新聞販売店1万7千店のうち、半数程度と取引がある。LOMSではこのパイプを生かし、18年度中に500店体制の宅配網を整えたい考えだ。 深刻なドライバー不足に直面する物流業界にとっては、新聞販売店のインフラと人材を活用することで、増大する物量に対応できるメリットがある。一方、販売店側は新たな収入を見込める。 今後、LOMSでは販売店スタッフが使うクラウド型システムの開発を急ぐ。また、宅配スタッフの統一ユニホームも検討する。新聞販売店での荷物の引き取りなどサービス拡充も計画するほか、倉庫業者の拠点を活用した宅配サービス、小売店やエネルギー事業者の営業所といった新聞販売店以外の地域のインフラ活用も視野に入れる。 近藤氏は「将来的に物量は間違いなく増大する。これまではマッチングや仲介ビジネスが中心だったが、自らインフラを構築していかないと、将来的に運び切れなくなる、と感じ、新たなビジネスを立ち上げた。新聞配達と宅配を短時間に組み合わせるなど、働き手の様々なニーズにも応えられる。地域に拠点があり人がいれば、有益な宅配拠点になる。色々な業界と連携し、ビジネスモデルを考えていきたい」と意欲をみせる。 また、LOMSの取締役を務めるダイワコーポの曽根氏も「このままだと宅配便大手もパンクする。今回のプロジェクトは日本の一大危機に対するソリューションであり、大義を感じる。今後、加速度的に広がる可能性が高く、思いも寄らない業界から提携の話が来るかも知れない。スピード感を持って進めることが重要」と強調。 倉庫業界との連携については「夕方から夜は、在宅率の高い時間帯。倉庫での本来の出荷作業が終わった後、倉庫業者がラストワンマイルの配達を担うことも次のステージで考えたい」としている。 【写真=販売店スタッフが使うシステムの開発や、販売店以外の地域のインフラを活用することも視野に入れる(イメージ写真)=一部画像処理しています】