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東北の新卒採用状況、売り手市場 採用厳しく 働きやすい環境づくり 地道な学校回り、奏功

産業

2018/04/09 0:00

 【宮城】業種を越えて人手不足が叫ばれているが、特に物流業界ではドライバーや現場作業員の確保が深刻な課題となっている。東北の物流企業でも近年は中途採用に加え、新卒の定期採用を始める企業も出てきた。今年(2018年4月入社)は、大学生も高校生も「売り手市場」にあり、採用戦線は厳しかったようだ。東北の主な中小物流事業者に新卒者の採用状況を聞いた。(黒田秀男)  結果をみると、定期採用を長年続けている有力企業はほぼ例年並みを確保した。宮城県の事業者では、まず、東邦運輸倉庫(黒川久社長、仙台市宮城野区)では、大卒3人(17年は4人)と専門学校卒1人(0人)、高卒4人(2人)の新入社員を迎え入れた。伊藤利光総務部長は「毎年、6、7人程度の採用だが、今回は厳しかった。地道に学校回りをしたのが奏功した」と振り返る。  協和運輸倉庫(高橋大輔社長、同区)には高卒7人(2人)が入社した。当初は定員を6人としていたが、実績の無い高校から応募があり、採用枠を広げた。「多くの高校から若い人材を集め、一から育てたい。特に、体育会系の人材を求めている。明るく体力もあり、先輩・後輩という人間関係も体験している」(高橋社長)。今年はサッカーと水泳の部員が入社したという。  港湾運送の三陸運輸(丹野光明社長、塩釜市)と塩釜港運送(徳永政男社長、同)も前年並みとなった。三陸運輸が大卒2人、高卒7人の計9人で、17年は大卒3人を含む8人だった。塩釜港運送は事務系2人、技能系4人の計6人を採用。17年は8人を雇い入れた。両者とも地元の有力企業として知名度も高いため、優位に新卒採用を進められたという。  2年前から本格的に定期採用に踏み切った丸山運送(三浦一夫社長、仙台市宮城野区)は、大卒女性7人を迎え入れた。東北地区の大学から選ばれた人材で、この中には国立大生2人も含まれる。17年は高卒男性2人だった。新入社員は急成長の国際物流本部に5人と、マーケティング本部、管理本部にそれぞれ一人ずつ配属された。三浦社長は「今年は女性の応募が多かったが、19年は男性も取りたい。人材を育成し、当社ブランド『the 080」を築いていきたい」と話す。2日には入社式を行った。  ドライバー職の定期採用を開始したのは仙台配送(尾上寿昭社長、同区)。今年はプロドライバーを目指す高卒男性1人が入った。初めての新卒者だが「受け入れ態勢に問題は無い。これまで未経験者を何人も採用してきた。若い人を育てるノウハウもある」と尾上社長。長距離輸送を近距離輸送に切り替え、毎日、自宅に戻れる労働環境の整備やユニホームの刷新、イメージアップ戦略などに力を入れる。  山形県内でも採用戦線は厳しかった。山形陸運(佐藤公啓社長、山形市)は高卒者1人を採用。17年は3人だった。片山恭寛総務部長は「従来に無く苦戦した。応募数が少ない。生徒だけでなく、業界に対する親の意見、イメージも大きな要因になる。イメージアップが必要」と分析する。  ベア・ロジコ(本田孝之社長、天童市)は高卒2人(17年は3人)、ティスコ運輸(菅原茂秋社長、山形市)も同数の高卒2人(1人)を確保した。本田社長は「苦労した。積極的に募集活動を行ったが、ようやく採用できた」と強調。ティスコの結城生馬常務は「同じ学校へのアタックだけでは難しいと痛感した。今後は訪問校数を広げたい」としている。  例年、2、3人の新卒を迎え入れているYBSサービス(佐藤侑功社長、山形市)とエイエスエムトランスポート(工藤亜紀子社長、酒田市)は今年、採用できなかった。佐藤社長は「震災後に状況が変わった。業種を越えた人手不足で、年を追うごとに定期採用が難しくなっている。背景には、労働人口が年々減少する構造的な問題がある。物流業界にとっては大きな問題だ」と危機感を募らせる。  秋田県も状況に変わりは無い。ヨコウン(塩田充弘社長、横手市)は総合職で大卒1人、ドライバー職として専門学校卒1人を採用した。ドライバーは高卒を対象にしていたが、応募がゼロだったため、急きょ、専門学校にも枠を広げた。11年からドライバー職(高卒)、13年からは総合職(大卒)の定期採用をスタート。17年は大卒1人、高卒は4人だった。  山縣新一・取締役管理本部長は「年齢構成を見ると、ドライバーは高齢者が多かった。遅すぎるかも知れないが、幹部候補生を含めて定期採用し、世代間ギャップを薄めていく。積極的に募集活動を展開したい」としている。  川連運送(阿部久社長、湯沢市)にも、17年と同数の2人の新卒(高校と専門学校)が入社した。地場産品の配送に加え、地元食材を使用したレトルトカレーの製造販売など、地域との共存共栄に力を入れてきた。小学生ミニバスケットボール大会の開催、ブライダル相談に加え、昨冬からは犬、猫のトリマーサロンも始めた。阿部社長は「新卒は地元校からしか入らない。少しでも当社に興味を持ってもらえる工夫が必要。今後も地域に役立つ、新しい事業に取り組む。ユニホームも一新する」としている。なお、今回入社の1人はドライバー職だが、トリマー専門学校の出身という。 【写真=丸山運送の入社式で新入社員らと記念撮影する三浦社長(前列中央)】





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